レーダーで攻撃隊の接近を察知した米機動部隊は多くの戦闘機を舞い上げた。
その結果、攻撃隊は一方的に反撃を受け、大損害が出た。
『攻撃隊が戻って来ました!』
見張り兵の叫びに、瑞鶴は甲板から暗闇の天空を見詰める。まわりには攻撃隊を迎えようと多くの兵達が出て来た。
そして、攻撃隊が見えた。
次々に着艦する攻撃隊の飛行機はボロボロだった。数機の飛行機のコックピットの窓が敵機の機銃を浴びて穴が無数に開いていた。そのせいで数人の飛行兵が負傷し、二人乗りの九九艦爆や三人乗りの九七艦攻では数人の発射手が敵機の機銃を頭に受け、絶命していた。
甲板は血の海と化していた。
「救助作業急げ!」
空母兵と整備兵が必死で担架を使って重傷した航空兵を医務室に運び込み、軽傷の兵は甲板で手当て、応急処置を受けた。
そんな様子を見て、瑞鶴は真っ青になる。
あまりにも悲惨すぎた。
彼女の経験上これ程酷い損害は初めてだった。
赤十字の肩章を付けた衛生兵が手当てに走り回る。整備兵や無傷、比較的軽傷な飛行兵も手当てに回る。甲板はもう地獄絵図状態だった。
三〇分ほど経ち、ようやく甲板に平和が戻った。しかし、甲板には不特定無数の血が飛び散り、辺りには血の生臭さが潮の香りと混ざった臭いが漂っている。
瑞鶴はその光景に吐き気を感じて目を背ける。
もう見たくないと自室に逃げた。
急いで布団に潜り、瑞鶴はその中で静かに泣いた。
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翌日、敵機動部隊を発見。攻撃隊を向けた。
しかし、この時敵機動部隊からも攻撃隊が発艦し、瑞鶴達日本機動部隊に向かっていた。
『敵機ッ! 右四〇度高角六〇度突っ込んでくるッ!』
見張り兵の絶叫が伝声管を伝わり、空母『瑞鶴』の艦橋に緊張が走った。急いで参謀達が確認の為に右舷の窓に集まり、双眼鏡で空を見た。蒼空にキラキラと輝く無数の点が、艦隊に向かって急接近していた。
「敵機???ッ!」
瑞鶴の顔が凍りつく。
「対空戦闘急げッ!」
『瑞鶴』艦長|横川(よこかわ)|市平(いちへい)大佐が伝声管に向かって叫んだ。
敵機は轟音を立てて高速で突撃して来る。
『敵機『翔鶴』に向かいます! あッ!『翔鶴』が攻撃開始を開始しました!』
瑞鶴は対空砲火を撃ちまくる姉を見た。
「姉さんッ!」
『敵機襲来ッ!』
彼女も人の心配をしている暇はなかった。
「高角砲隊砲撃始めッ!」
ドオンドオンッ! ドオォォンッ! と高角砲が唸り、敵機に向かって砲弾が向かう。
いくつもの小さな爆発が起き、敵機数機が落ちた。
「機銃隊撃ち方始めッ!」
ダダダダダダダダダダッ! と機銃が鋭い発砲音立てて空中を飛び交かって無数の弾幕を張る。
この攻撃で敵機は十機近く撃ち落とされたが、それでも敵機は編隊を解いて突っ込んでくる。
「副長! 艦橋を任せた!」
「了解!」
横川は艦橋を飛び出した。瑞鶴もそれに続く。
二人は防空指揮所に駆け上がった。
扉を乱暴に開けると、横山はすぐに防空ヘルメットを被って操艦を始める。
「取舵いっぱぁぁぁいッ!」
横川は伝声管に叫ぶ。
瑞鶴は近づいて来る敵機を睨む。もうかなり近づいていた。
『瑞鶴』は左に曲がり、迫る敵機から全速力で逃げる。
「右七〇度雷撃機!」
敵雷撃機が低空で接近し、細長く鈍い銀色に輝く魚雷が投下した。
水中に潜った魚雷はすさまじいスピードで海中を走る。
「取舵三〇度ぉぉぉッ!」
『瑞鶴』は全力で左に曲がり、魚雷を見事に回避した。
「今だっ! 両舷前進全速!」
先程の倍の白波を立てて『瑞鶴』は前進する。
「敵機後方より接近!」
振り向くと、