蔵。戦艦『武蔵』の艦魂で、大和の妹」
最後に武蔵を紹介したが、武蔵は依然瑪瑙を睨みつけたまま。どうやらこの子がこの中で一番敵対心むき出しらしい。
瑪瑙と珊瑚は大和達をもう一度見回す。しかし何度見直してもそこにいるのはうら若き乙女達ばかり。
「ねぇバカ翔輝。あんたは何? ハーレムを築きたいの?」
そう言って珊瑚は恐ろしく冷たい目で翔輝を見詰める。その中には軽蔑も込められていた。
「ち、違うよッ! そんなんじゃないってば!」
翔輝がいくら否定しても、珊瑚は冷たい視線を崩さない。
一方、瑪瑙は先程から自分を睨み付けている武蔵を見詰め、そっと問う。
「あなたは翔輝の何?」
瑪瑙の問いに、武蔵は素直に答える。
「???友達」
「そう、お友達。翔輝といつも仲良くしてくれてありがとう。これからもよろしくね」
そう言って、瑪瑙は会釈した。一瞬、瑪瑙のその礼儀正しい態度に武蔵も驚いたが、すぐに態勢を立て直す。
「???貴様は何者?」
「私? 私は翔輝の姉のような者よ」
「???なるほど、所詮は姉か。ならば、私の翔輝に勝手に近づかないで」http://www.66fo.com
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そう言って武蔵は翔輝に抱きつく。後ろでは大和達や珊瑚、瑠璃が何か文句の声を上げたが。瑪瑙もピクリと眉を動かす。
「いきなり何を言うかと思えば、そんなの無理に決まってるじゃない」
「???言う事を聞かないなら、武力行使もやむをえない」
そう言うと、武蔵は腰の軍刀を引き抜いた。その突然の行動に皆が驚愕する。
「ちょ、ちょっと武蔵!」
翔輝が間に入ろうとしたが、武蔵はそんな彼を睨み「???翔輝は下がってて」と言うと再び瑪瑙を睨む。視線の先の瑪瑙は戸惑っていた。
「剣を抜くって事がどういう意味かわかってるの?」
「???それ相応の覚悟はできている」
「なるほど、言っても聞かないって訳ね」
「???翔輝は私が守る。貴様の力は不要」
「それは心外ね。私は翔輝が小さい頃からずっと守ってきた。そしてそれはこれからも。あなたこそ必要ない」
「???黙れ女狐。貴様はここで倒れろ」
「???仕方ないわね――潰してあげる」
そう言って瑪瑙は瞳を細くし、腰の二本の刀を引き抜いた。それを見て驚愕するのは翔輝に珊瑚、瑠璃のメンバー。
「まずいッ! 武蔵! すぐに刀を捨てるんだッ!」
そう叫んだのは翔輝。その声にはいつになく焦りがあった。同じような反応の珊瑚と瑠璃に大和達は不思議そうに首を傾げる。
「中尉。武蔵の実力はあなただってわかってるじゃないですか。あの金剛さんや榛名さんを手玉に取るくらいですよ」
「気に入らねぇが、純粋な実力だけならあいつは本気の翔鶴にある程度は食い下がれる。人間の女なんかに負ける訳がねぇ」
大和と榛名の言葉に皆うなずいた。ただでさえ艦魂は人間よりも身体能力が上なのに武蔵はさらにそこへ戦闘能力が加わっている。その実力は他を圧倒し、人間なんかが勝てるようなレベルではない。が、
「とにかくやめるんだ!」
翔輝の声に、武蔵はイラっとした。
彼は、あんな女の方が自分よりも強いと言っているのだ。気に入らない。軽くあしらう程度のつもりだったが、変更。徹底的に叩き潰す。
刀を構えた武蔵に、翔輝は叫ぶ。
「やめろぉッ! 瑪瑙姉さんは強すぎるんだよッ! 翔鶴だって姉さんには――」
そこまでしか聞こえなかった。
意識を集中して、一気に踏み込んだ。先手必勝!
ドス???ッ!
「???かはッ!」
突然の衝撃とその声は、自分から出ているものだった。
先手を取ったと思ったのに、自分の刀は虚空で止まり、いつの間にか目の前まで踏み込んだ瑪瑙の刀の峰が自分の腹に食い込んでいた――峰打ちだ。
その強烈な一撃に、武蔵の意識が消えて行く