お蔵入りとなったリキッドレシピ「5 Cocktails」のご紹介、四弾目は「ジャックローズ」です。
このカクテルはアップル・ブランデーを主軸に、ライム汁とグレナディン・シロップで整えるというもの。バーによって色々アレンジできますが、アップル・ブランデーをベースに作るのが基本です。
さて、電子タバコ用のリキッドとなると、この再現はなかなか難しいところ。なぜなら、フルーツの香りというのは非常に難しいからです。そこで目線を少し変えて、グレナディン・シロップをまず研究するところから始めました。
というのも、カクテルがアップル・ブランデーベースだからといって、リキッドもアップルベースにできるかというと、そうでもないのです。アップル香料の香りというのは非常に強いですからね。カクテルと同じ要領でアップル香料を使おうものなら、まずくてとても吸えたものではありません。
増してこのカクテルの肝は、ライムやグレナディン・シロップの爽やかさにあります。
5 Cocktailsの中でもっとも悪戦苦闘したレシピですが、結果的には他のラインナップとはまた趣の違う、個性的な作品ができたと思います。
しかしどうもパンチが弱いですね。カクテルというのは、とても複雑なものです。それを再現するとなると、自然リキッドの香りも複雑になります。複雑になればいいというものでもありません。バランスが難しいのです。
VapeSickのラインナップは複雑なものが多いですが、中でもとりわけ蜜とEVANS等はレシピがこの上なく複雑です。しかし、芯がある。だから吸って美味しいのです。
一方、このジャックローズはどこかフワフワとしており、それが良くも悪くも“パンチのない優しさ”となりました。カクテル自体も口当たりがいいですから飲みやすく、どちらかというと女性向けかもしれません。このレシピもそれと同様、女性的な慎ましさを感じさせます。
ところでこの5 Cocktailsシリーズ、アートワークにもずいぶんとこだわりました。
写真をご覧いただけば分かると思いますが、フロントロゴはすべてスタンプを押したようなデザインになっています。
実はこのスタンプ、デザインを描き起こし、それを職人さんに依頼してわざわざ本物のスタンプを制作していただいたのです。納品いただいたスタンプを実際に紙に押し、その画像を取り込んでデスクトップでデジタル処理を施す──と徹底的に「本物のスタンプ感」を追求しました。
デジタルだけではなかなかこういう質感は出せないものです。
最終的には没になってしまいましたが、味や香りだけでなく「ものづくり」の魂が込もったシリーズだったと思います。




