こんばんは、シッキーです。
Vapeという文化が実際に多くの方々にどう認識されているのか、私は知りません。
それを一番よく知っているのは、販売の現場の人間ですよね。お店の人間です。我々はメーカーとして現場第一線で活躍する方々の声を聞くことはできても、それを購入するお客様の声というのはそう多くダイレクトには入ってこないのですよ。
ただ、少ないながらもVapeSickに向けてメッセージをお送りくださる方もいれば、たまに私個人宛にメッセージをくださる方もいらっしゃいます。我々からすればそれは本当に貴重なお客様の声で、励まされたり反省させられたりすることがあるのです。
しかし最近、といいますかここ数年ずっと、ちょっと疑問に思っていることがあるのですよ。
というのも、Vapeというのは我々にとって非常にマニアックで、こだわりがいのあるカルチャーなのですが、そういう受け止め方をしている方は実はそう多くないのではないかなと。
事実、初心者向けのスターターキットはいまだに売れているみたいですね。「このカルチャー、面白そう」という感覚で、とりあえずスターターキットに手を出してみる──という人は、ずっと多いようです。狭い日本とはいえ、潜在顧客はまだまだいるということなのでしょう。
一方、気化式タバコが流行し始めてからというもの、Vape愛好者がそっちに流れていく──なんて現象もよく目の当たりにします。使い捨て式の電子タバコなんてのもちらほら出てきていますね。実は使い捨て式でVapeSickのフレーバーを出して欲しいなんて打診もいくつかございました。商売として考えればそれほど悪い話でもなかったのですが、ブランドの方向性と少し違うということで、お断りするしかなかったという次第です。
Vapeにしろ気化式タバコにしろ、どちらにしても多くの方からすれば今はまだ「流行もの」「ミーハーなもの」「移りゆくもの」なのかもしれません。
一方で、マニアックにVapeにこだわる方も一定数はいると思うのですよ。
私達はそっちの類で、なまじリキッドなんて作って販売してしまったもんですから、完全に立場としては供給者側です。しかし実際の感覚といいますか、目線はやはりいまだに消費者なのです。どういうリキッドを作ったら面白いか、どういうことをしたら楽しいか。そういう感覚を大切にしています。それは経営云々ではなく、本当に純粋な「マニアック魂」です。
しかし、売上はともかくブランドとしての認知が今のようになりますと、ユーザーは完全に私達のことを「供給者」として見ます。端的にいえば「商売人」みたいなことでしょうか。それは仕方のないことかもしれません。売っている奴らがいて、それを買ってみる人達がいる。まずかったら買わなければいいだけの話。私もそうですが、飲食にしろ何にしろサービス提供者にいちいち経営陣にありがとうを言いませんし、クレームもいれません。
ところが私個人的な目線からしますと、それが非常に寂しいのです。
なぜなら、VapeSickのスタイルというのは、発足当初から何も変わっていないのですよ。単にマニアックな奴らがマニアックに研究し、美味しそうなリキッドを追求してきた。それだけのこと。あなた達の声だって、何人もの人間を経過しなくても、部署を通らなくても、代表である私に直に届きます。最初は不特定多数の切磋琢磨があったのですが、いつしかサービスを提供する側になってしまい、プロジェクトメンバー以外の人間を巻き込めなくなってしまった。
第三者が気軽に「もっとこういうリキッドにしたらいいんじゃない?」と言いにくいプロジェクトになってしまったということです。
繰り返しになりますが、これは私の本当に個人的な感情でしかありません。それを前提に、こういう在り方は少し寂しいというか、虚しいのです。
今回、極シリーズというものを発表しました。
これは本当にこれまでのVapeSickの集大成です。
言い換えれば、我々の努力、労力、意欲の結晶です。
私達は、目先のことをあまり考えておりません。ずっと先を見ています。Vapeが最終的にどう洗練されるか──というのを見越しながら、研究・開発を続けています。
その結果辿りつくのが、“素材を活かすシンプルな料理”なのです。
たとえば今回のシリーズの“新富士”は、これ以上は無理というくらいのメンソールです。
なぜって、メンソール結晶を製造現場で溶かし込んでいるのですから。本物も本物。これ以上は無理でしょう。
きよかもそうです。きよかみたいなレシピは、多分他にないと思います。もちろんレシピは企業秘密!ですが、「こんな柑橘、他にない!」と思う方、多いと思います。当たり前ですよ。めっちゃ研究してますからね。
#5もそうです。
これは5 Coffeeシリーズを前身とする作品ですが、そもそも5 Coffeesの「本物のコーヒー豆から香りを抽出して、香料、着色料、保存料を一切使わない」というコンセプトがもうやばいでしょ。変態的ですよね。そこに我々のポリシーがあるのですよ。
変態的!誰もやってない!当然です。手間もかかるしコストもかかる!そりゃ一般企業はやりません。
その代わり香りはコーヒーそのもの、本物です。
しかしコーヒー豆にはカフェインが含まれますし、その点気になさる方が案外多かったようです。
そこで#5はカフェインレスのコーヒー豆を採用し、カフェインを99.9%カットしました。
これ以上のコーヒーリキッドが他にあるでしょうか。
これを超えるのは無理です。
強いて言えば、香料をガンガン入れて味を整える──みたいなことになるでしょう。
それはそれで美味しいものを作ることはできますよ。もしかすると、マーケット的には今より受けのいいものになるかもしれませんね。でも、せっかく香料不使用でコーヒー豆を丹念に抽出しているのに、そこに香料をぶち込みますか? 最高の出汁をとった茶碗蒸しに旨味調味料をぶち込むようなものです。それが好きな方がいるのは重々承知の上なのですが、我々みたいにこじらせちゃった目で見ると“台無し”みたいな感覚なのですよ。
香料不使用、紛いもん一切なし。本物一本勝負。料理に限らず、どんな商品やサービスにおいてもこれが最終形態ではないでしょうか。最初は甘党のコーヒー好きも、やがてはブラックしか嗜まないコーヒーマニアになりますものね。5 Coffeesにしろ#5にしろ、今は物足りなさを感じても、いつしか「あれが本物だったんじゃない?」と思う時がくると思います。その時に気付いてもらえればいい──という感覚で、我々はものをつくっています。
結局Vapeはどこにいくかというと、長い目で見ると私は「誰もが本物を求めるようになる」と思うのです。
料理と同じですよ。
旨味調味料満載の料理が美味しいと思う時期もあるかもしれませんが、最終的には肉も野菜も魚介も“素材を活かした味”に辿り着きます。
ジャンクフードばかり食べてりゃ、なかなか京料理の美味しさは分かりません。ジャンクフードが好きでも、京料理が好きでも、どっちでもいいと思います。ただ、結局どの道を辿っても、人は最終的にシンプルでごまかしのないものを好むのだろうという、そういう確信を持っての極シリーズのリリースなのでございます。
先取りし過ぎかもしれませんし、今はまだ時代錯誤もいいところかもしれません。
それでもいいのです。“これを創った”という軌跡があれば。
私は正直、普段はただリキッドを買って、評論めいたことを言って、「俺だったら私だったらこうするのに」という人達と酒でも飲みながらVape談義をしたいんですよ。それが一番楽しいと思うんです。たまには「じゃあそれ商品化してみるか!」なんて言いながらね、軽口叩いてやっているくらいがちょうどいいと思いますよ。
「単にいいものを作りたい奴ら」が集まった場所のエネルギーったら、ものをつくったことがある人なら分かるでしょう。
そのうちVapeSickオフ会的なもんでも企画してみましょうかね。
もし実現したら来てくださいね笑

