国譲りに見られる古代史の真相① ~高天原~ | 神々の東雲

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わたくしたちの美しい国日本の成立を、記紀や神様のはなしを中心にまとめました。

「葦原中つ国の平定」「大国主の国譲り」において、ついに地上界の中つ国は、天上界、高天原の統治になりました。

古事記は物語ですので、一見するとそれはとてもスムースに描かれておりますが、ここには多くの謎が隠されています。

それらを探ることで、この日本という国と、この日本国民が如何に高い精神性を持った民族であるかということが分かります。

しかし、結論として「国譲りは和の精神」という部分、論調は基本です。これがないと日本国民ではありません。あくまでもその事実としての「結論」を踏まえて、以下に記して参ります。

 

①高天原統治権の根拠とは

そもそも、古事記ではこの候の冒頭に天照大御神が「我が子、正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命(まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)が知らすべ国である」という神勅を出していますが、実はそもそもが伊邪那岐命の神勅により、この国の統治権は確立しているものでした。

しかし、なぜ、わざわざ、古事記ではここに国譲りの話を持ってきたのでしょうか?

 

②高天原の合議制

実は、今上天皇は日本国憲法により「象徴天皇」とされておられますが、高天原の統治機構は合議制でした。その最初はなんといっても「天の石屋戸」の会議でしょう。

あの折に、アマテラスさまは石戸の中。会議を召集したのは統治権を持っている筈のアマテラスさまではなく神々の合意で集まりました。

そして八百万の神々が議論を重ねて結論を出しているのです。さらにいえば、アマテラスさまはその結論に従って詔を発していらっしゃるのです。

つまり、この合議制という「意思決定」の方法が、天皇の統治にも踏襲されているのです。

これは「天皇不親政の原則」といって、天皇の下に地方の豪族が束ねられて大和朝廷が出来上がり、古代から合議制で国を運営してきました。その後の飛鳥時代、奈良時代、平安時代も、また武家政権になってもこの原則は守られてきました。

その出発が高天原でした。

日本の国というのは、古来「争いを嫌い、話し合いで 解決する」ということに大変長けている民族でした。

しかし、残念ながら、長い年月の中で色々な他民族が入り込んできたことでそのことが苦手になってきたのだと思いますが、これは別の話なので…また、違うところで検証しようと思います。

そして、それはとても高い精神性でした。

③神々の思惑

さて、そんな合議制を取っているということは、当然、それを進行している役柄が必要になります。高天原では、オモイカネさまがその役割を担っておられるのは、既に「天の石屋戸」のところお分かりだと思いますが、オモイカネさまは「知恵の神」と言われるようにどちらかというと学者肌で、物事を決定するという強い意思や力(権威、権力)はお持ちではありませんでした。

では、どなたがそれをリードされていたかというと、それが、高御産巣日神であることは明白です。

実はこの項で途中から高木神という言い方をされているにも些か不思議な感じがしないでもありません。

では、何故、タカミムスヒさまがそのようにリードされたのかというと、それが天孫降臨に繋がってきます。

何度も書きますが、歴史とは勝者の理論です。

しかし、中には、自らがオモテに出たくないひともいます。ただ、それを一番容易く見分けるのは、ある事件が起こったときに誰が一番「得」をしているかです。

そしてその人間の思惑によって、歴史は塗り替えられていきます。勝者の都合のよいように。

 

④天照大御神を傷つけない

この「国譲り」節で大きなポイントは「天若日子(アメノワカヒコ)の成敗」にあります。

最初に派遣した天菩比命(アメノホヒ)が全く成果を上げられず、しかも報告もなにもないので、アマテラスさまと高木神が話し合い遣わしましたが、このときに高木神は天之麻古弓と天之波波矢を持たせましたが、やはり今度は8年も返らず、その様子を見に行かせた鳴女を、その弓矢で射抜いて殺してしまいました。

このときに高木神は、この矢を射たものを射殺すよう呪文をかけ、 天若日子を殺してしまいます。

これはなにを現しているのでしょうか??

アマテラスさまは直接、手をくださない、ましてや処刑も行わない、そういうところに手を汚さないという現れなのです。

そして、高木神は、その汚れ役を自ら買って出たことで、この「国譲り」の件で、優位にたつことになります。

そして優位にたって、それが「天孫降臨」に繋がっていきます。これはここで書くとごっちゃになってしまうので、改めて、そのときの解説で書きます。

そして、この辺りは、ちょうど、古事記が書かれた以前の天皇と有力豪族の関係に似ていますし、この後も、ずっと摂関政治だったり、武家政権においても、アマテラスさまの血統は、祭祀はなさりますが、自ら国づくりはなさいません。

この暗黙の了解が、天の石屋戸と国譲りで確立されたと言ってよいでしょう。

 

このように、古事記における「国譲り」を高天原側からみるとこのように考察できます。

 

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