『建具職人の千太郎』 岩崎京子 著 くもん出版 平成22年度選定図書高学年の部
江戸時代の終わりころ、今の神奈川県鶴見区にある建具屋「建喜」にわずか7歳で奉公に出された千太郎がやさしいが腕のいい棟梁と、厳しいがいつも千太郎を助けてくれる兄弟子たちに見守られながら、建具職人として生きていこうと決心するまでのお話です。
この本は、平成22年の読書感想文選定図書になったものですが、恥ずかしながら私は著者の岩崎京子さんを知りませんでした。調べてみると、現在92歳の現役児童文学者で日本児童文学界の重鎮の方でした。
自分が90歳のときに、はたしてこれほどの文章を書けるほどのエネルギーがあるだろうか?(そもそも、小説を書く才能は私にはまったくありませんが・・・)
私は、どんな作家さんでも、物語を紡ぎだし文章にするということだけで尊敬していますが、岩崎京子さんは小説のストーリー、人物描写、文章の美しさ(リズム?)どれをとっても、まさに第一級です。それを90歳に近い年齢でやり遂げるというのは・・・本当に、神業としか思えません。
千太郎のモデルとなった人物はいるようですが、ほぼ作品の登場人物は岩崎先生のオリジナルでフィクションの物語です。
腕は確かだが優しい人柄で「仏の喜右衛門」といわれる棟梁と、いつもは無口だけど怒ると怖い職人気質の正吉兄弟子、見習い仲間のリーダー亀吉とお調子者の幸吉、そして千太郎と同じく建喜に奉公に出された実姉のおこう・・・と、様々なキャラクターが200年の時を超えて生き生きとよみがえってきます。
ちょっと、個人的な主観ですが、最近のライトノベルのような、読みやすく人気の小説は、出てくる人物が
イケメンでちょっとツンデレで・・・みたいなステレオタイプが多い気がするのですが、ちゃんとした力のある人なら、イケメンを出さなくても、十分人物の魅力を引き出すことができるのだな~と感じました。
『お宿かわせみ』とか『しゃばげ』とかあさのあつこさんの時代物などが好きな人なら、きっと楽しめると思います。
高学年の、時代物も読める児童向けです。

