『飛んで跳ねろ!!』
瓦礫を魔法で浮かばせて、更に粉々し、それをスローテンポで渦をまかせる。
十分に力を溜め込んだあとに、主人公はその瓦礫を『跳ねろ!!』と叫んだ。
すると敵をめがけて飛んで行き、大きく小さく弾けとんだ。
そんなゲームのワンシーンのような光景が頭に浮かんだ。
俺達はそんな空中分解を始めようとしていたんだ・・・・
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ミョンス達と別れ、店内から振り向きもせずに出てきたミンス。
その瞬間に突然誰かに腕を掴まれ、体中に電気が走った・・・
ソンジョン:「こんにちはっ!」
あの時の光景がフラッシュバックして、恐る恐る
腕から視線を追っていき、繋がっているその顔を見ると、他の者だったので
その不安感は消えたが一瞬誰だか思い出せなかった。
ミンス:「!!?」
ソンジョン:「僕はソンジョン!覚えてるっ??
だぁ~いじょーぶっ!怖がらないでっ?」
ミンス:「なっ・・なんですかっ?放してくださいっ!!」
ソンジョン:「あっwごめんごめん。君はどっちかな・・・?
あ、いやなんでもない・・・こっちの話しっw」
ミンス:「・・・・?」
ソンジョン:「この先に行かないほうがいいよ?^^最近、こわぁ~い人が多いからねっ!」
ミンス:「あのっ・・・。」
ソンジョン:「ねぇ・・・君さ、あ・・・まぁいいやwまたね~
気をつけて帰るんだよぉ~」
ミンス:「はい・・・。」
(一体なんなの・・・?この間といい・・・・結局、何しに来たんだろ。)
ミンスは訳も分からず首をかしげながら、ソンジョンへ向いていたつま先を
クルリと方向転換して、言われたとおり別の道を歩いて帰ることにした・・・。
何故そうしたかは自分でも分からないけど、さっきの人の忠告を
なんとなく素直に聞き入れただけだった。
あんな怖い思いは、二度と嫌だから・・・。
(それにしてもソンヨルオッパ・・・いつの間に?信じられない。
私なんて・・・私なんてずっと前からオッパのこと思ってたのにさ・・・。酷いよ・・・。
大体、オッパだって酷い!!退院する前に彼女ができたって?
そんなの嘘っ!!私、絶対信じないっ!!そんなそぶりなんてなかったし。
あ~ぁ・・・・
私がどんなに怖い思いしたって、助けてくれたって結局最後には迎えも忘れられちゃうし、
置いてかれるんだよね。はぁ~・・・ダメだ・・・・寂しくてそんなことばっか考えちゃう・・・・。)
ミンスは歩きながら整理のつかない思いを、自分の中で消化しようとした。
けれどショックが大きすぎて、ヤケに腹が立つ。
一人で目的もなく歩き続けていると、嫌でも二人が並んでいる姿が目に浮かんでは消し、
また思い出しては腹が立って悲しくて、涙が溢れてきた。
(バカ・・・二人共、大っ嫌い・・・。)
一方店内では、ミョンスとナナがようやく注文した飲み物を
二人で楽しそうに会話しながら飲み始めていた。
リリィとソンヨルはせわしなく店内を動いている・・・・
今いるお客さんの注文やオーダーを運び終えると、
ソンヨルはカウンター近くに山積みにされたトレーを拭き始めた・・・。
ソンヨルは時々店内のテーブルを拭きに行っているリリィをチラリと横目で
見ると、そのリリィの時々テーブル以外に行っている視線に気がついた。
やっぱな・・・やっぱそっか。
最初から分かってたけど・・・リリィ、俺のことは少しも見ないんだな。
それでもどうにか目が合えば、渦巻く気持ちを抑えて、ニコッと笑顔を見せた。
リリィもそれに答えるように、少しだけ口端をあげてクスッと笑ってくれた。
リリィは自然に笑顔が戻って、仕事に集中しはじめるけど、見続けてしまう俺は
不自然に口端が下がって、苦笑いを通ってから元の表情に戻るんだ。
ほんと、こんなのは俺ばかりで、辛いけど、それでもリリィを放したくはなくて・・・
忙しい時間も過ぎて、一時の余裕ができた時間になり、少しだけ手が空いたので、
ソンヨルは最後のトレーを拭き終えたのを、定位置に重ねながらリリィに声をかけた。
ソンヨル:「ねぇ、リリィ?」
リリィ:「ん?」
ソンヨル:「なんかさ・・・なんかあいつ変じゃないか?」
リリィ:「あいつって?ミョンスのこと?」
(こんな時もそうだ。すぐにあいつの名前があがるんだよな・・・
まぁ共通の人ってそれぐらいだろうけどさ。)
ソンヨル:「ん・・・あいつさ、俺がお見舞いに行ったときもそうだったんだけどさ、
なぁ~んか違和感があるんだよ・・・。」
リリィ:「そうかな・・・?以前と変わらない感じだけど?」
ソンヨル:「雰囲気はね・・・でも、会話ん中でもそうだし、なんか違和感つーかさ・・・
その中でも小分けにしたら、もっとどっか何か隠してるみたいな、
なんか違うような・・・う~ん・・・なんて言っていいか・・・。
ジグソーパズルのどこかが外れてて見つからない感じ?」
リリィ:「なにそれw究極にわかりづらいんですけどw」
ソンヨル:「なんだよっwわかるだろっ~?こんなにわかりやすい説明ないよっ!??」
リリィ:「えっ・・・・?」
ソンヨル:「えっ?」
リリィ:「いや、聞き返さないでよw」
ソンヨル:「うんwなんかさぁ~・・・もしかしてぇ~・・・いやでもなぁ~・・・。」
リリィ:「もう、なによw自分の中で解決してから言ってくれる?w」
ソンヨル:「う゛~ん・・・あっ!ねぇ、やっぱさ、色々違和感ある!」
リリィ:「wwwそれさっき聞いたw案外ソンヨルって面白いんだね。」
ソンヨル:「案外?心外です!」
リリィ:「それはつまんない・・・。」
ソンヨル:「いや、ちょっ・・・あのね、それよりさ、ミョンス・・・
あいつほんとに記憶戻ってると思う?」
リリィ:「・・・・実は・・・正直言うと、私もそれ思った。ミョンス、
多分私たちのこと何も思い出してない気がする・・・。」
ソンヨル:「だろっ?やっぱりっ??なんか・・・以前とさ、俺を見る目つきが違うんだよな。」
リリィ:「あっ!そうそう!それ!!」
ソンヨリ:「やっぱりかぁ~・・・そうだと仮定すると、
色々つじつまが合いそうなんだよなぁ・・・。」
リリィ:「でもなんでそんなややこしくなることしたんだろう・・・。」
ソンヨリ:「まぁ~・・・あいつの優しいところは変わってないってことだろうな。」
リリィ:「そっか・・・・。気を使ってるのかな・・・?
あ、・・そうだ・・・言いたいことあるんだけどね?
あのっ・・・あのさっ・・・ソンヨル・・・実は私ね?」
ソンヨル:「あぁぁぁあああああ!!いいっ!!今は言わなくていいっ!!」
リリィ:「えっ・・・?」
ソンヨル:「俺、分かってるから。リリィが・・・俺じゃない人を見てる・・・ってこと。」
リリィ:「ソンヨル・・・・。」
ソンヨル:「あっ!謝らないでっ?それからしばらくはこのままの関係でいようよ。
あいつの記憶が戻るように俺たちも見守らなきゃ・・・。あいつのやり方で・・・さ。」
リリィ:「うん・・・そうだね。でも・・・ごめんね。」
ソンヨル:「あははっw今謝ったらズルイじゃんw」
リリィ:「うん・・・でも、こんなのやっぱりソンヨルに悪くて・・・。」
ソンヨル:「・・・・・あははっそれ言ったら、勢いで付き合ったって
言ってるようなもんじゃ~ん・・・しくしくwだから、めっちゃ仲良しっていう
感じにしていたい・・・し、できればそうなっていきたいw」
リリィ:「あはっ親友みたいな?ってことね!うん、分かった。」
ソンヨル:「うんwそれそれっ!・・・・でも、でもさ、俺・・・やっぱさ、リリィ・・・。」
ソンヨルは急に真顔になって、リリィの靴先に願いを込めるように見つめると
静かにリリィへと顔を戻した。
リリィ:「・・・・?」
ソンヨル:「まだ・・・このままでいたい。さっき、付き合い始めたのに、もう友達なんて・・・
リリィの気持ちは分かるよっ!?分かってる・・・つもりだから。だから・・・その・・・。」
リリィ:「ソンヨル・・・まだ私達恋人同士だよっ?^^正直・・・私自身の気持ちが
定まらないの・・・なんかふわふわしてるっていうか・・・
だからすごくソンヨルに悪い気がして、何も考えずにいいよって
言ったこと謝りたかっただけwこれからはちゃんと考えながらソンヨルと前向きに
付き合ってくね?」
ソンヨル:「そっか!ならいいや!!これからリリィが俺がいなきゃダメ~~!!って
ぐらい好きになるかもしれないしなっ!www」
リリィ:「あははっw」
ソンヨル:「リリィ、俺は大丈夫だからリリィはいつもどおりのリリィでいてくれたら
それでいいよ。でもっ!!今は俺の彼女だからね?w」
そう言ってソンヨルはリリィの両手を掴んで引っ張りしゃがませた。
リリィ:「なっなにっ!?」
しゃがんだと同時に、ソンヨルはリリィのホッペにキスをした。
ソンヨル:「お~れのっ!w」
リリィ:「もうっ!反則だよっ!」
ソンヨル:「ぬははははっ俺、謝らないよ?」
リリィ:「うん、分かってるw」
ドキドキした・・・
ソンヨルの優しさにこのまま溺れてみてもいいかな?って思えた。
今はソンヨルの彼女なんだ・・・って、少しはソンヨルに目を向けていても
いいかなって思えた。
その反対にあ、ミョンスは何も覚えていない可能性が余計に私を苦しめ、
そして前に進むための足かせのように感じた。
ミョンスがもし・・・もし思い出してくれたら何か変わるのかな?
私のこと、どう思ってたのか知りたい気持ちが、ソンヨルへの後ろめたさを
感じて、また胸が痛んだ。
ソンヨルがホッペにチューしてくれて、正直嬉しかった。
嬉しかったのにどうしても胸が痛くて、その晩ベッドで泣いたまま眠ってしまった。
ミョンスと・・・ソンヨル。
思い出した時に、私はどちらを思っているのかな・・・・
今はまだお互いにふわふわと宙を浮いて歩いてるけど、
きっとその時、答えが出るんだろうと思う。
ミョンス・・・お願い・・・・
思い出して・・・。
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ねぇ、リリィ・・・
”これからはちゃんと考えながら”俺と付き合うって言ったじゃん?
でも、俺思うんだよね・・・・
恋愛って・・・付き合うって考えて行動なんかしないんじゃないかって。
自然とそうしちゃうだろ?普通・・・
でも、それがリリィの本心なんだろうな。
俺を傷つけないように?
俺とうまくいくように?
どちらにしたって、何も気を使わないで欲しい・・・
絶対、俺・・・振り向かせてみせるから。
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春風が髪や顔に暖かく、そして静かに触れるようにそれは訪れた。
誰もが振り返り、目で追ってしまう・・・・
それはゆっくりと・・・ゆっくりと。
まるでスローモーションで歩いてくるかのように爽やかな笑みをこぼしながら
店内へと入ってきた。
お客様が来たと思ったリリィは、顔を見る前からいつもの明るい声で迎えの声を発した。
リリィ:「いらしゃいまっ・・・せぇ~・・・・。」
『なんで?』
ソンヨルはそのリリィの曇った顔を見逃さなかった。
ソンヨル:「リリィ?リリィっ?どうしたの?」
リリィ:「えっ・・・?」
ソンジョン:「はぁ~・・・ここっ!いいかなっ?」
ソンヨル:「あっ、はいどうぞ^^」
リリィは足を鳴らしてそいつに近づいていった・・・
どうしたんだろう?
知り合い?
なんだか怒ってるみたいに近づいていったけど・・・。
嫌な予感がした。
ミョンス:「ソンヨラ・・・あいつ誰?」
ソンヨル:「分かんない・・・けど・・・。」
ミョンス:「お前、行ってこいよ。なんか、リリィの様子が・・・。」
ソンヨル:「うん・・・。」
リリィ:「何しに来たの・・・・?帰ってよ。」
ソンジョン:「あ、僕、カプチーノね!」
リリィ:「ちょっとっ!!」
ソンジョン:「僕はお客様だよ?注文受けてくれないの?あっ!
すいませーん!そこの人!注文お願いしまぁ~す!」
ソンヨルはミョンスと視線を合わせてから、そのお客様の所へと向かった。
ソンヨル:「はい。」
ソンジョン:「えっとねぇ~カプチーノ1つねっ!^^」
ソンヨル:「かしこまりました。リリィ、行くよっ?ほらっ・・・。」
ソンヨルはそいつを睨みつけたまま動かないリリィの手を俺に預け、
俺はなんだか分からないけど、ソンヨルから任されたその腕を掴んだ。
リリィはその腕を振り払うように隣のテーブルにまた手を強く突いて、睨みつけていた。
俺はリリィをそこに置いておけなくて、テーブルに突いている手を引っ張った。
ナナは飲み物を飲みながら静かにそれを見守っている。
リリィを厨房近くまで引っ張って歩くと、なんだか不思議な気持ちがした・・・
あれ・・・?
そう思ったけど、さっきの客が気になって、その人とリリィを交互に
見ていたら、リリィと目が合った。
俺はすかさずニコッと笑ってリリィを見た。
もちろんリリィは笑い返すことはなかった。
ただ・・・俺の手を必死にギュっと握っていた。
正直握られた手に驚いたけど、余程何かがあるのだろうと思って、
何も言わずにいた・・・。
そのリリィの体温で目が回ってくる気がした。
なんだろう・・・この感じ。
リリィをこの距離で見下ろすこの感じ・・・・
隣に並んだこの距離の視界が俺の目を回し始めるんだ。
俺はリリィと・・・・バイトで一緒だったからその記憶なのかな・・・
でもなんでこんなに目が回るんだろう?
そんな中、もうナナの所に戻ろうとナナに視線を戻すと同時に、
リリィは俺の手をゆっくりと放し歩き出した。
俺はナナのいる席に戻って椅子に座りながら、その様子をうかがった。
さっきの客は店内を首だけグルリと動かして眺めている。
(誰だよあいつ・・・・リリィのなんなんだ?)
ソンヨルは視線をその客に釘付けになりながら
カプチーノを厨房にお願いして、出来上がるのを待った。
気が付けばまたリリィはそいつのとこへ行って、何か静かに言い続けてる・・・
リリィ:「何しに来たの?早く自分の住む国へ帰りなよ・・・
私に関わらないでって言ってるでしょ?」
ソンジョン:「なぁ~んでだよぉ~・・・僕は妹が心配なだけなんだよ?
それなのに酷いなぁ~・・・。」
リリィ:「あんたはどう思ってるかは知らないけど、あたしはあんたを兄だなんて
思ってないから・・・。」
ソンジョン:「そう怒んないでよ。実はさ、ほんとはリリィに・・・
帰る前に話しておきたいことがあるんだ。」
急に苦笑するから・・・・この人らしくなくて私は黙ってしまった。
リリィ:「何よ?さっさと話して帰って。」
ソンジョン:「あはっw僕は本当に嫌われてるんだね・・・寂しいよ。」
リリィ:「そんなのいいから・・・早くしてよ。私仕事中なの。」
すると事務所からたまたま出てきた店長が、二人を見つけてソンヨルに
誰かと聞いてきた。
ソンヨルはどうやら知り合いみたいだと告げると、店長はリリィに声をかけた。
店長;「リリィ、知り合いか?」
リリィ:「あっ・・・いえ、すいません・・・。」
するとソンジョンは椅子から立ち上がり会釈をしてこう言った。
ソンジョン:「いつも妹がお世話になっています。兄のソンジョンです。
先日、イギリスから顔を見に来ました。^^」
店長:「お兄さんなの?な~んだそうか~リリィ、もう今日は上がっていいぞ。
久しぶりなんだろ?イギリスに住んでるんじゃたまにしか会えないだろう。
今日は上がりなさい。」
リリィ:「やっ・・・いえっ!店長いいんです!!」
ソンジョン:「わぁ~ありがとうございます!!じゃぁ、僕、待ってるからね?」
リリィ:「・・・・なんてやつ。」
店長:「いいっていいって!じゃぁ、今日は忙しい・・・ソンヨル、頑張れよっw」
ソンヨル:「エェ~~っ!?俺一人でっ??誰か他のバイト呼んでくださいよぉ~」
ミョンス:「あ、じゃぁ俺出ようか?」
ナナ:「うん、そうしなよ!なんなら私も手伝うし!!」
店長:「おっ!早速働いてくれるのか?だったら助かるな。
じゃぁ、二人共なれないだろうけど、頼むな。」
こうして、ミョンスとナナがリリィと変わった。
リリィ:「ここでしか聞かないから。」
ガタンっと椅子の音を出して、リリィはエプロンを外して座った。
ソンジョン:「ねぇ、リリィ。実は僕・・・養子なんだ。」
リリィ:「はっ?」
ワケがわからなかった・・・
養子に出されたのは私なのに?
一体どういう事なの?
混乱するリリィを優しく見つめるソンジョン・・・
それを遠くでハラハラしながら見守るソンヨル。
ミョンスはただ、キョロキョロと目を動かして、この状況を理解しようと
するのに必死だった。