「10代の頃に聴いた音楽は一生影響する」とよく言われますが、音楽や舞踊をやってきた人にとっては、それ以上に強い影響を持つものがあります。

それは、子どもの頃に繰り返し練習していた音楽です。


何度も演奏し、身体を通して覚え、呼吸やタイミングまで含めて染み込んでいくため、単なる「好き嫌い」を超えて、身体のデフォルト設定のようなものとして残ります。

自然だと感じるリズムや間、音のニュアンスは、多くの場合ここから生まれています。


この感覚はとても深く、まるで身体や細胞レベルで刻まれているように感じられることもあります。

実際にわたし自身、胎内にいた頃から音の影響を受けていたのではないかと感じることがあり、さらに言えば人生を超えても好みが続いているのではないかと思うほどの一貫性を感じています。

それほどまでに、初期の体験は強く残ります。


そして、その後に幅を広げても、良いと感じる出会いや影響は、どこかその延長線上にあるように感じられます。


ただし、その延長線は閉じたものではありません。

大人になってからの発見は、比較や再解釈を通して更新していきます。

異なるものとの対比は、もともとの感覚を浮かび上がらせ、広げていく働きを持っています。


この関係は、母語と第二言語に少し似ています。

子どもの頃に身につけた音楽は母語のようなもので、その後に出会うものは第二言語のような存在です。

第二言語を深く学ぶことで母語の感覚そのものが変わることがあるように、音楽の感じ方もまた更新されていきます。