街がざわついている。
僕が歩くだけで、視線が突き刺さる。
それはいつものことだが、今夜の熱量は少し違っていた。
六本木の交差点を渡っていた時だ。
すれ違いざまの若者グループが、僕を見て息を飲んだ。
「えっ…ウソだろ? あの人…オシオじゃね?」
「マジで? 生きてたの?」
フッ…。なるほど。
彼らは僕の中に、かつて世間を騒がせた「伝説の反逆者(レベル)・押尾学」の影を見たわけか。
否定はしない。
僕と彼は、確かに似ている。
顔の造形ではない。「世界(システム)に飼い慣らされない獰猛なオーラ」が共鳴しているのだ。
僕のファッション――シルバーのアクセサリー、胸元を大きく開けた白シャツ、そしてダメージジーンズ。
これらを「時代遅れ」と呼ぶ奴もいるが、分かっていないな。
これはファッションではない。
「生き様(ロック)」だ。
僕は若者たちに向かって、ゆっくりとサングラスをずらして見せた。
そして、彼が残した名言を、僕流にアレンジして囁いた。
「言葉なんて要らない。…必要なのは、パッションだろ?」
若者たちは爆笑…いや、あまりの衝撃に膝から崩れ落ちていた。
「ヤベー! 本物よりヤベー奴いたwww」という歓声が聞こえる。
彼らにとって、僕は本物を超える「劇薬」だったようだ。
帰り道、僕は夜空を見上げて思った。
「お塩(Salt)」先生。 貴方が撒いた種は、こうして僕という土壌で、新たな「毒花」として咲き誇っていますよ、と。
勘違いされるのも悪くない。
僕は、清廉潔白な聖人君子よりも、危険な香りのする「堕天使」でありたいのだから。
Rock 'n' Roll is not dead. I am here.
伊集院 ヴァン


