【1413】 あらい玉英の冒険。B面曲のほうが良曲なのは「台湾人のカバー」を見れば判る | アレンジャー > 作曲家 > 歌手 > 作詞家 /詞「語呂」◎ →粤語Cover取扱い

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① 薗広昭 梅谷忠洋 伊藤典子 【ふりむけば ながさき】
② 南郷達也 杉本真人 武内公美 【恋泥棒】
③ 丸山雅仁 久保田衛 賀川潤子 【旅ごころ】
④ 前田俊明 美樹克彦 樹ゆうこ 【女・ひとり花】
⑤ なし

あらい玉英2005≪森野りえ=演歌娘の渡り鳥(2018上野さゆり翻唱)



記事アップの時点でこの埋め込み動画の評価=高評価3 低評価4
面白い!
こんなに歌唱力があるのに。
何か別の基準で動画が評価されているのか。

「台湾人がこの曲をカバーしている動画」だけでYoutubeに20近くある。重複している人を除いても十数点。最も歌唱力があるのがこの動画。


問題はこんなマイナー曲が台湾で大人気で歌われている点。
複数の人に。複数の店で。
いろんな会場の動画があるということは、同じサークル・グループをカウントしないとしても、ある程度歌われていることは明らか。
とても面白い現象。
流石台湾人! 良いものは無名曲でも古典でも構わず歌う。


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本編に入る前に、少し余談。
いったいこれらの会場は何なのか? 何故台湾人が日本型カラオケシステムで日本曲を歌えているのか?
そもそもこういうシステムが台湾人に合っているのか?

[参照]
20-04-05 【1125】 一挙手一投足に目が離せないBIG3 /第五回 番外編 八戸のレベルの高さ
>>カラオケ店や会場における大会・発表会などというものはない。行儀よく順番待ちして(他人の歌唱を聴いて)自分の番が来たら歌う・・・などというスタイルは中国人の気質に合わない。そもそも住居が遠く離れていて都心に出れない人が大半。
>>そこでどういうスタイルが確立されたかというと、行き着いたのはネットのブースを借りて歌うというスタイル。音声ファイルのみ使う歌唱専用ユーチューブのようなもの。



4月上旬にこれを書いたばかり。
どこに錯誤があったか。

一つには大陸と台湾の違い。大陸にはこういうシステムはやはり無いのではないか?
台湾人は日本を有難がり真似ようとする。なのでこのシステムが浸透したのだろう。
とはいえ『順番の意識は大陸も台湾人も大差なし。一人で一度に何曲入れても平気。』と、ついでのサーフィンで情報に辿り着けもした(台湾カラオケボックスでの状況描写)。
ちょうど大陸人と日本人の中間的な気質なのか。

いずれにせよ分けて考えるほうが良さそう。
台湾には【日本のステージ付きカラオケ専門喫茶(夜の部)みたいなもの】がある・・と。それも数多く。
(ちなみにこれらの店では順番制はきちんと敷かれるのではないかと推察されます)


日本型カラオケシステム
動画に映っているデイスプレイ左上に「やまと」と出ています。これが「ダム」とか「ジョイサウンド」に相当するものなのでしょう。
どういう契約か解りませんが、かなりの曲が収録されていると推察されます。

【887】 記事の動画では港町ブルースが、『日本語字幕入り5歌手動画』からヴォーカルを抜いたもの・・でカラオケに入っていました。
日本の会社との契約ではなく、独自で日本語曲カラオケシステムを作っている会社なのでしょうか?


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あらい玉英の妥協 およびそれを好んだ台湾人達

■あらい玉英2005≪演歌娘の渡り鳥(森野りえ B面)≫
人の情けを 翼に借りて
北へ南へ 流
れ旅
③未熟者では ありますが 名刺代わりに お客さま
④ちょいと 一節 聴いて 下さい
⑤私の歌を アアンア アンアアンアアー
⑥お見知り お願い 申します
⑦演歌 渡り鳥

この曲のサビは一目瞭然、【けを 翼に借りて】の箇所である。これを否定することは難しい。台湾人が何故森野りえのA面曲を無視してこのB面曲ばかりを歌いまくっているか。その原因の一つが【けを 翼に借りて】である。この見立てはおそらく外れていない。動画の翻唱婦人もココを綺麗に響かせている。

字部分が王道箇所。
「れ旅」・・からあらい玉英は小技を入れてくる。後半は小技の連続。味を出そうとした。冒頭でオーソドックスにセオリーを入れてしまったので「これではまずい!」とオリジナル性を出そうとした。

惜しいというか、しょうがないというか。本来は字旋律の波長のまま押し通したほうが良い。しかし二番煎じ(もしくは盗用疑惑)になるので変えるしかない。新曲の宿命。
あらいの責任というほどではない。
あらいが何を考えたかは手に取るように(誰にでも)判る。
ベストではないがベターの曲に仕上げた。悪くはないので台湾人も好んだ。(むしろ後半が好きな人も少なくない)

あらいと似た事情なのが↓の四方章人の例。
19-05-17 【1402】 <その2>四方の奇衒 vs 伊藤雪彦は伊戸のりおに諭した、『奇を衒うな』と。


■四方章人2016≪行合橋(山口瑠美 B面)≫ 現時点でブログ内検索(曲名) 13hit
>> ①日暮れて 賑わう 橋の上
>> ②川面に 煌く 街灯り
>> ③胸に しまった あの人の
>> ④面影 浮かべる 水鏡
>> ⑤行く人 来る人
>> ⑥戻る人
>> ⑦行合 橋は
>> ⑧別れ橋
>>
>> A ①日暮れて ・・・・・・・・ 苦し紛れの奇衒↑◆ =不快部
>> B ①賑わう ・・・・・・・・ =微妙部
>> C ①橋の上~~~~~~⑧別れ橋 ・・・・・・・・ =快適部・完全無欠・黄金比・口の悪い人に言わせると陳腐
>>
>> 四方はバランス感覚が良いような気がしてなりません。
>> 博打みたいな冒頭を使ってしまった( ←この動機は上述◆部参照)。このため、これを挽回すべく②~⑧を徹底して黄金比で固めた。こうしてバランスを取った。


素人の筆者が上から目線なのが面白い。
四方章人が一発屋でないことも良く判る。


あらいは「こういう曲」を書くイメージがなかった。
松崎かつみ絡みで筆者は東武東上線をホームとする歌手に関して、時おり聞きかじる。が、あらいはジャンル違いの印象でノーマーク。
ひょっとして畑違いのあらいだからこそ冒頭に王道しか思いつかなかったのか。それとも単にセンスが良いから王道となったのか。

あらいにせよ四方にせよ苦肉の策ではあるが、結果 佳曲となった。


尚、動画が見当たらないので埋め込めないが、オリジナル森野りえの歌唱(とくに冒頭サビの箇所)は何度聴き返してみても飽きない絶品。(現在HMV&BOOKSのサンプルで一番冒頭箇所を聴けるようだ)


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■四方章人2003≪失恋夢酒場(佐倉さくら B面)≫ 現時点でブログ内検索(曲名) 8hit

https://mojim.com/jph177698.htm

https://mojim.com/twy177698x1x1.htm

検索サイト
「佐倉さくら」検索でB面の≪失恋夢酒場≫の歌詞しか引っ掛からない。
A面≪露の宿≫のみ収録しているDAM・・と真逆。
A面≪露の宿≫は中国人から無視されている。←ひらがな混じりは関係なし(さくらで検索できるので)。

まあ当たり前。中国人台湾人が≪A露の宿(四方章人)≫みたいな捻った旋律を好むわけがない。
≪B失恋夢酒場(四方章人)≫は誰でも歌える王道である。