?:大輔、コレ何?
目の前に見せられたソレは、
赤いハイヒールだった。
突き付けているのは、彼女だ。
大:何って…靴
?:靴は見れば分かるわよ! 誰のって聞いてるの!!
大:…元カノの…
嘘は吐いていない。
本当だ。
本当にソレは元恋人の靴だ。
?:何で元カノの靴が家の靴箱から出てくるの!
大:……それは…
?:それに、コレ、最近のじゃないの? 前に靴箱見た時、無かったもの!
大:………
彼女の言う通り、その靴は最近のだ。
と言うか、一昨日だ。
彼女と俺は同棲している訳では無い。
最近は忙しい為、彼女とあまり会えていない。
そんな時、元カノ――瑠衣(ルイ)が来たのだ。
瑠衣は近くまで来たからと、家に上がった。
彼女と同棲していたら上げなかった、と思う。
?:いつ会ったのよ!
大:……一昨日…
?:何しに来たのよ!
大:近くまで来たって言ってた。知り合いが近所に住んでるみたいで…
?:そんな嘘みたいな話、信じたの!?
大:お茶飲んで帰ったし。…何も無いよ
?:当たり前でしょ! 冗談じゃ無いわ!
そう言って彼女は靴をゴミ箱に捨てた。
だが、一昨日、瑠衣はハイヒールなんて履いていただろうか…。
革靴だった気がする。
どんなつもりでハイヒールを置いて行ったのか…。
取りに来るつもりだったのか。
彼女が何やら喚いている。
俺は適当に誤魔化して、その日は寝た。
もう瑠衣には会わない。
そう思っていたのに、
1週間後、街に買い出しに行ったら会ってしまった。
大:…久し振り…
瑠:この間、会ったでしょ(笑)
大:…そう、だな…
瑠:…そこの喫茶店でお茶しない?
以前、よく行ってた喫茶店でお茶を飲む。
瑠衣は相変わらず、綺麗だった。
瑠:ねぇ、私の靴、どうしたの?
大:…彼女に、捨てられた
瑠:そうなんだ
大:………
瑠:大輔クン、私ね、藤堂クンと付き合ってるの
大:…そう
瑠:驚かないの?
大:…別に。藤堂は前からお前の事、狙ってたし
瑠:そうなの?
大:うん。紹介しろって何回か言われてたけど、無視してた(笑)
瑠:そうだったんだ…
大:…そろそろ帰るか
瑠:大輔クン、家、行っても良い?
本来なら断るべきだ。
だって、瑠衣には相手が居て、
俺にだって彼女が居る。
本当は断るべきだ。
だが、俺は首を縦に振っていた。
そして瑠衣はまた靴を置いて行った。
以前と同じ、赤いハイヒールを。
俺の部屋に…――