ある日の早朝。
俺、寺村紘征は家の中の物音で目が覚めた。
俺は今、ベッドの中だ。
じゃあ、物音の正体は何だ?
泥棒…では無いと思う。
ココはマンションの17階だし。
まぁ、忍者みたいな泥棒なら話は別だが(笑)
そんなアホな訳ない。
物音の正体は恐らくアイツだ。
ホント、朝から五月蝿い奴だな。
枕元の携帯を確認する。
時間は午前5時。
確か、寝たのは午前3時。
………2時間しか寝てないわ(笑)
寝室のテーブルは綺麗に片付いている。
2時間前までは空き缶がその辺に転がっていたのに。
ホント、出来た嫁が居るもんだ(笑)
そんな事を思いながら俺は布団を被った。
あと、2時間寝れる…。
午前7時。
枕元の目覚ましが鳴る。
…俺はセットした覚えが無い。
止めてもう1度寝ようとしたら、寝室のドアが開いた。
大:いつまで寝てるんですか!! 2度寝をしない!!
紘:……ぅ~…ん
大:起きなさい!!
布団を剥ぎ取られる。
季節は春だが、まだ寒い。
大:ほら、起きなさい
紘:…ちゅーしてくれたら起きる
大:何を寝惚けた事を言っているんですか?
俺を起こしに来たコイツは白澤大和。
昨日から泊まっているクラスメートだ。
勉強大好き真面目生徒。
それが校内での大和の肩書き。
一緒に居るのは基本同じ真面目生徒。
俺ら不良生徒とは殆ど絡まない。
同じクラスでも話すらしない。
席も大和が前の方で俺は後ろの方だし。
俺と大和が校内で話す場所は、2つだけ。
屋上と3階の空き教室。
俺は仲居達とよくサボるけど、
良い子チャンの大和はサボりなんてしない。
だから、会えるとしたら3階の空き教室だけ。
この間だってそうだ。空き教室だった。
……いや、正確には『間違えた』んだ。
1年の後輩に送ったと思ったメールが、
間違えて大和に送っていたらしいのだ。
俺が気付いたのは、大和が来た後。
しかも、その話が大和を怒らせたらしく…。
普段話もしないくせに、
校門を出たところで話し掛けてきやがった。
しかも、『泊めて下さい』と…。
大:朝ご飯出来てますから早く着替えなさい
紘:…結局ちゅーは無しですか
大:まだアホな事言いますか?
紘:…分かりましたよ。着替えます…
大:最初からそうして下さい
大和は溜め息を吐きながら部屋を出て行く。
俺は欠伸をしながら制服に着替えた。
隆擁の男子制服はネクタイをしなければいけない。
それが非常に面倒だ。
コレは俺以外も思っているようで、
1年男子はほぼ全員がちゃんと締めているが、
2年男子ともなると半分くらいになっていて、
3年男子ともなると締めているのは真面目生徒くらいで、
それ以外の生徒は締めているのか、緩めているかだ。
因みに俺は一応してはいるが、緩めている。
しかも締めるのは家を出る直前。
携帯を鞄に放り込み、部屋を出る。
リビングに行くと、大和がキッチンに居た。
テーブルには朝食が用意されている。
1人だと朝は殆ど食わない。
別に食わなくても問題は無い。
大:早くお座りなさい
紘:…おぅ
大:和食ですが文句無いですよね?
紘:洋食じゃなくて良かったわ
大:では、頂きます
紘:…頂きます
その後、俺達は無言で食事をした。
1人だとテレビとか見てるが、
大和が一緒だとそれは無い。
行儀が悪いと消されるからだ。
食事が終わると歯を磨く。
髪をセットし、ネクタイを締め、家を出る。
大:…あぁ、忘れてました
紘:何?
大:コレ、お弁当です
紘:…は?
大:作りました
紘:…弁当、ね
大:彼女に作ってもらったと言えば良いでしょ
紘:彼女?
大:桜華の女ですよ
紘:…良くご存知で
大:じゃ、僕は先に行きます
紘:何で?
大:仲居達を迎えに行くんでしょ?
紘:それもご存知で…
大:では、失礼します
紘:…へーい
そして俺はマンションの前で大和と別れる。
大和は仲居達を迎えに~なんて言ったけど、
別にいつも迎えに行ってる訳じゃない。
しかも、今日は『仲居の家』じゃなく、
『笹崎の家』だ。
笹崎も同じ不良生徒だけど…。
…あ~あ、ホント大変だわ(笑)