?:ふーじーさーきー君!!
後ろから後輩に抱き付かれた。
後輩の名は美倉沙織(ミクラ サオリ)。
調理部に所属してるらしい。
よく『作った』と言って持ってくるのだ。
後輩から貰えるのは嬉しいし、
ましてや相手は女子だ。
だが、どんなに嬉しくても
俺には『恋人』が居る。
彼女もそれを知ってるはず・・・。
なのに止まらないアタックの嵐。
あまりにしつこい為、
1回だけデートすることにした。
段取りは映画観て、買い物して
お昼食べて、ブラブラして、夕食食べる。
俺が祈るのは恋人と鉢合わせしませんように・・・。
そしてデート当日。
前日、恋人は出掛けると言っていた。
何処に出掛けるのか聞いてないが、
多分、行き先は被らないだろう・・・。
待ち合わせ場所に行ったが、
後輩はまだ来ていなかった。
約束の時間まで15分はあった。
単に俺が来る時間が早いのか?
その後、約束の時間になった。
後輩は・・・・・・まだ来ない。
10分オーバー。・・・まだ来ない。
そして、約束の時間から30分経って彼女は来た。
それも、眠そうにだ。
沙:ごめんね~。昨日、眠れなくてさ~。目覚ましかけたんだけど、寝過ごしてね~
勝:だったら電話くらいしてよ
沙:ごめんね~。次からはそうする~
勝:次なんて無いでしょ。このデートは1回切りって約束だし
沙:今日1日で変わるかもじゃん
勝:変わらないよ。・・・映画、行くよ。もう時間無い
沙:あ、待ってよ~
映画は恋愛モノ。
始まって30分後、
美倉は寝た。
因みに、この映画は美倉が観たいと言ったのだ。
俺は映画は嫌いじゃないが、
恋愛モノ自体があまり好きではないので、
アクション系にしないかと言ったが、
どうせ1回切りなんだし、
彼女が観たいなら良いかと恋愛モノにしたのだ。
それなのに、美倉は寝やがった!
ぶっちゃけイラッとしたが、
映画館で怒鳴る訳にもいかず、
その場は何とか抑え、映画を見終えた。
沙:感動したよね~
勝:寝てた奴が何言ってんの?
沙:最後の方はちゃんと観たもん
勝:あっそ。じゃ、次は買い物だね
沙:いつも行くとこで良い?
勝:別に何処でも良いよ
そして、着いた場所は大型のショッピングモール。
どうせならココで昼食も済ませるか・・・。
俺は特に買い物があるわけではないので、
彼女が終わるのをただ待っていた。
暫くして彼女が戻って来たので、
ココでお昼を済ませようと言ったら、
別のお店に予約を取ったと言う。
予約したなら仕方無いので、その店に移動。
沙:この店ね、知り合いがやってる店なの~
勝:美倉サンが払うの?
沙:え? デートなんだから勝馬クン払ってよ~
真昼間から高級イタリアンで食事。
もし相手が恋人なら引っ叩いてるな(笑)
あまり財布に現金は入っていない。
まぁ、何とかなるだろうと俺は思った。
通されたのは完全に個室だった。
恋人でもない『ただの』後輩と
食事が終わるまで個室って・・・。
彼女は個室だからだろうか。
俺が聞いたワケでもないのに、
勝手にペラペラ喋っていた。
俺は頷きながら黙々と食事した。
暫くしてお会計となった。
彼女はさっさと外に出てしまった。
さっきも言ったが、財布に持ち合わせはない。
勝:・・・カードでお願いします
?:お預かり致します
これで夕食は簡単なものだな。
それを彼女に伝えたら、
夕食も予約済みだと言う。
何だろ・・・、嫌な予感しかしない。
結局、夕食も同じような場所。
何で、何とも想ってない後輩と・・・。
午後8時になる前に後輩を送る。
もう少し一緒に居たいと駄々捏ねる。
沙:次はいつ会いますか?
勝:最初に言ったろ。次は無い。俺には『恋人』がいる。美倉サンだって知ってるよね?
沙:・・・じゃあ、私は2番目で良いです
勝:は?
沙:藤崎先輩と齋藤先輩のカップルは変わっている。2人は互いに浮気をしても問題にならない。寧ろ、藤崎先輩の方より齋藤先輩の方が浮気をしているって話、ですよね?
勝:・・・あぁ
沙:だったら、私と浮気しても齋藤先輩は怒らないんじゃないですか?
勝:・・・それは・・・
沙:一番が齋藤先輩だって言うなら、私は2番目で良いです
勝:・・・・・・無理だ
沙:そうですか。残念です。じゃ、サヨウナラ
大して残念そうでもない顔をして、
彼女は家へと入って行った。
結局、1日中デートとなってしまった。
本当はもっと早めに切り上げたかった。
啓輔に鉢合わせすることは無かったけど、
何だろう? 無性に会いたい気持ちになった。
よし、啓輔に会いに行こう・・・――。