憂鬱ゆえに新しいダウンジャケットを買う
ということで、どうでもよい個人的な話しだが、寒い時季になってくると、質と見栄えのよい新しいダウンジャケットが無性に欲しくなって買ってしまう。この購買衝動は、前回にも述べた私の憂鬱気質と関係があるものだが、どこに着ていくとか、誰に見てもらうということも全くないのだけれど、寒くなってきて、陽も短くなり、年齢のせいもあるかも知れないが、外に出かけるのも億劫になって、特にあれやこれやと日本の政治や将来のことを考えていると、本当に途轍もなく、底なし沼にはまり込んだような憂鬱な気分になってしまって、歩くのも、手足を動かすことさえ面倒になってくるのだが、よし、それならということで、とにかくも暖かくて見た目にも格好の良いダウンジャケットを買いに出掛けようと、それが私にとっての日常を生きる意味であったり、活力になったりするということである。それで実際に買って着てみると、単純なことだが、憂鬱が薄らいだり、気分が上がったりするのである。人生もそれほど悪いものでもないと思えてくるのである。単純で、恥ずかしい話しだが。この憂鬱を晴らすための、自らの魂を救うためのダウンジャケット購入は去年の冬から始まった。それまでの私はファッションや服のブランドのことなどまるで興味がなかったので、1万円程度の安物のダウンジャケットしか持っていなかったのである。それで今から1年ほど前の話しだが、ある日、憂鬱のあまり、安物ではない格好の良いダウンジャケットを買いに行こうと決断した。ところが私は服の知識がないので、ダウンジャケットのブランドと言えばモンクレールくらいしか知らなかったのである。それでネットで調べて、大阪にあるモンクレールの専門店にいそいそと買いに出掛けたのであった。買いに行ったのはよいが、若い頃よりファッション音痴の私にはブランド物の値段の相場というものが全然わかっていなかったのである。インフレで物価が上がっているといっても、10万円ぐらいあれば買えると思っていた。ところがいざモンクレールの店内に入って商品を見回していると、どれもこれも40万円以上の物ばかりで、驚いたというか、衝撃を受けた。ブランドと言っても服一着買うのに40万円いるのかと。値段も値段だが、それ以上に買いに来ている客層が、日本人ではない、中国人らしき若者ばかりで、中国語が飛び交っている店内にいると次第にうんざりとした気分になって買う気がなくなってしまった。それでその場は、すごすごと退散することになったのである。ということでまた堂々巡りのような憂鬱な政治についての思考に戻るのだが、なぜ中国の富裕層がわざわざ日本まで来てブランドの服を買うのかと、本国で買えばよいのではないかということである。邪魔な手荷物になるだけではないか。もちろん円安要因ということもあるであろうが、恐らく決定的な理由は、中国国内で買うとばった物のコピー商品であるリスクが少なからずあるからであろう。旅費を掛けてでも、中国人は価格が高くて良い商品は、信頼性が高く安心の出来る日本のショップで買いたいと思って来日しているのである。それが1年経過して、例の高市総理の発言で、中国政府から日本への渡航制限が掛かり、中国人が街並みや店から少なくなってきたのは正直な所、有難いというか気分が晴れる思いである。それでも未だに大阪の難波や梅田周辺の繁華街を歩いていると、中国人らしき「不届き者」が散見されるのである。思わず私はそういう人々に、「日本はとても危険なところだから、自国政府の指示に従って早く、帰国した方がいいですよ。ブランド物の商品が買いたいのであれば上海の高級デパートででも買えばいいじゃないですか。たとえそれが偽物であったとしても、それは日本で買い物ができなかったということの日本の責任ではないですからね。あなたたちの政府が命じていることなのだから。そもそもコピー商品を大量に作るというビジネスはあなたたちの国のお家芸的な伝統産業なのだから、自国で買い物をしてそういう業界や国のためにお金を使うべきなのではないですか。ともかくも暴行に遭う危険性のあるような日本からは一刻も早く帰国してもう二度と来ないでください。」と言いたくなる。とこのようなことを言えば、日本の左翼は、石破茂のような政治家は、中国との経済取引が縮小することは日本の国益に反することだから何とかしなければならないなどと言うことが常だが、そうではないであろう。ダウンジャケットで言えば、中国人富裕層に依存しなくとも、1着40万円以上する物を買える日本人が一人でも増やしていく経済政策が、政治の本筋ではないのかということである。それに反する日本人全体を貧困化させる政策を長年、続けてきたのがこれまでの自民党政治であったのに、自分たちの責任を棚に上げて何を偉そうに言っているのかということだ。何か反論があるなら言ってみろ。
ということで結局、去年の冬はモンクレールは買わなかったのだが、知人にダウンジャケットの有名ブランドを教えてもらって、ピレネックスとデュベティカというブランドの物を1着ずつ買った。どちらもモンクレールの半値以下だが質がよくて格好もいいものである。買った後にわかったことだが、ピレネックスは元々モンクレールに高級な羽毛製品をOEM供給する工場であったり、デュベティカもモンクレールの元社長が独立して立ち上げたブランドであったりと、業界のことは私もよくわからないが、どうもヨーロッパの羽毛業界は利権化しているのか横のつながりがあるようである。それで今年の冬もまた買いたくなってきて、ろくにほとんど着てもいないのに憂鬱ゆえの購入衝動が抑えきれなくなってきて、去年買ったピレネックスは1回しか着ていないのに息子にあげて、最近、高島屋でCPカンパニーというイタリアのブランドの物を買った。これもなかなか恰好がよくて、ちょっと私はご機嫌である。それだけで満足せずに、数日前のことであるが難波のある店でまたダウンジャケットを買ってしまった。話しの内容上、特定されるといけないので店名やブランド名は伏せるが、その時の女性店員とのやり取りを憂さ晴らしに書くことにしよう。その日は去年買ったデュベティカのダウンを気に入っているのでもう一着いいのがあれば増やそうと思って店を見歩いていたのだが、ある店で黒色のレザー風のとても格好のいいダウンを見つけてしまったのである。それで試着してみると、女性店員は当然のように「とても格好いいです。」とお世辞を言う。それで値段も10万円以下で安かったので即決で買うことにした。どうでもいいことだが、会計をしているときにその女性店員となんとなく話しをしていてというか話し掛けられて、私が良いリピーター客になると見込まれたからかどうかはわからないが、
「こらから真っ直ぐ、お家に帰られるんですか。どこかで食事をしていかれるんですか。」と聞いてくる。その時の時刻は、夜の8時半ぐらいで店は9時に閉店する。それで私は
「まだはっきりとは決めていないけど、その辺で良さそうな店を探して見ようかと思ってる。」と答えると
「私も今ものすごくお腹がすいているんですよ」と言うから、
「いつも仕事終わってから、この辺の店で食べて帰るの」と聞くと
「家に食べるものがあるかどうかわからないから、迷ってるんです。でも実は私、今まで一度も外で一人で食事したことがないんです。とても寂しがり屋だから一人では行けないんです。それでいつの間にか25歳になってしまいました。」などという。何だか私がそれでは一緒に食べに行こうと誘わなければならないような会話の流れである。因みにその店で買い物をするのは初めてで、当然、その女性とも初対面である。最近のアパレルの女性店員はそんなこともするのかと思いながらも私は誘ったりすることもなく
「たまには一人で行動しないと、誰かに連れて行ってもらってばかりでは、店も覚えられないからよくないよ。」と言うと
「そうですね。それでは今度来た時に今日、開拓したいいお店を教えてくださいね。」と、教えてくださいというか、連れて行ってくださいね、というように聞こえるニュアンスで終わって、そのままその店を後にしたのであった。別に奢る程度のお金は持っているので誘っても良かったのだが、25歳と言えば息子と同じ年齢である。親子ほどの歳の離れた異性と二人きりで食事をするのは法律違反である。皆さんは知らないかも知れないが、最近、国民の知らないところでそのような新法が可決されて、既に施行されているのである。刑事罰を問われないようにするためには、事前に地元の警察署に申請用紙を提出して、許可を取っておかなければならないのである。知らなかったですか。何が言いたいのかおわかりであろうか。この時点でピンと来てわかったあなたの勘は素晴らしい。それこそが日本の政治や言論を清浄化するための貴重な資質である。言いたいこととは、普段、モテないような男がちょっと買い物で金を使ったぐらいのことで、若い女性から誘ってもらいたいかのような会話や態度をされることを、何かおかしいと思わなければならないということである。有名人でもないし、何者でもないような私ですらその程度の警戒心と判断能力、理性は当たり前のように持っているのである。それがである。それなりに社会に対して影響力を持っている、政治家や官僚、評論家などはどうなのかということである。中国に視察や何やらで行って、そこで接待を受けて、何の交渉や密談をしているのか知らないが、その後に世話係かコンパニオンかも知らないが、女性を斡旋されて、自分にはそれだけの価値があるなどと勘違いして、いとも簡単にハニートラップに引っ掛かっているようでは話しにならないということである。そういう人間どもの卑しい品性が日本の危機を招いているのである。わかったか。おい聞いてるのか。しらっとして自分には身に覚えはありませんてな顔をしやがって。無視するな。いかにも客観的で中立に見せ掛けながら、その実、中国側の代弁に過ぎないような、しょうもなく無理のある屁理屈ばかりTVでこねくり回して得意になっているお前や。
(吉川 玲)