春と魂 | 龍のひげのブログ

春と魂

ただ何気なく

辺りの光景を眺めている時にふと

肉体とは別の魂の感覚に気づく。

子供たちの笑い声、

小風にそよぐ色とりどりの、のぼり旗、

目の前を通り過ぎる人々の一瞬の表情、

駅前で売られているカンパニュラの花の透き通る青紫が

今、確かに私が生きていることを証明するかのように

五感に沁み入る。

いつの間にやらすっかり春めいて

私は雑多な街角にただ一人

茫洋と佇んでいる。

生者の身体と

死者の心で。