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ただ何気なく
辺りの光景を眺めている時にふと
肉体とは別の魂の感覚に気づく。
子供たちの笑い声、
小風にそよぐ色とりどりの、のぼり旗、
目の前を通り過ぎる人々の一瞬の表情、
駅前で売られているカンパニュラの花の透き通る青紫が
今、確かに私が生きていることを証明するかのように
五感に沁み入る。
いつの間にやらすっかり春めいて
私は雑多な街角にただ一人
茫洋と佇んでいる。
生者の身体と
死者の心で。