去る7月1日セブン&アイ・ホールディングスは井坂隆一社長とセブンペイ運営するセブン・ペイの小林強社長が記者会見して、スマホによる現金決済システム「セブン・ペイ」の導入を発表。
その後不具合により不十分な場足り的対応により曲折し、その結果、昨日8月1日副社長が記者会見して、全面廃止を発表した。
その技術的な不具合内容に関しては見解を述べる立場にないが、危機対応専門家として、記者会見の有り方について私見を述べる。
- 昨日の記者会見での最も重要な問題は、ホールディングスの井坂社長及びセブン・ペイ小林社長が出席しなかった点である。
- 導入の発表には、社長が出て、廃止の発表には副社長とは、然るべき企業のあるべき姿ではない。家庭で言えば、父親が大々的に自信満々で発表したことが失敗して完全撤退するのに、奥さんが出て平謝り発表するようなものではないか!
- それは企業としての姿勢がなってない明確な証である。恥ずかしい限りだ。
こんなことだから、無責任体制が染みつき、チェック体制が甘くなって問題を起こすのである。
■社長が出たがらない理由を分析すれば・・・このどれかに当てはまる!
1:記者会見の本来の意義・目的の軽視・無理解
ステークホルダー+国民への説明責任・義務ではなく、会見を“メディアに言う”ことと間違えている。本来、伝えるべき相手はメディアではない。
2:メディアへの敵視・・・メディアを報せる協力者に見ていない
- メディアなしに、説明義務責任は果せない
- 刻々変化する事態に関して、同じ情報」を同じ時に(一挙に)、多くの人々に報せるにはメディア(同時大量伝達の手段)なしには不可能であることを理解していない・・・もしわかっていたら「私は寝ていないんだ!」はあり得ない!
- メディアは、社会や企業の「批評・批判・非難・監視」役!
正当なメディアなしには、国家は北朝鮮になる! 言論の自由喪失、悪事蔓延
3:案件の軽視
「こんな大問題なのになぜ社長が出ないんだろう」という世間の常識との乖離
「誰が発表するかよってその案件に対する企業の姿勢が判る」
4:責任の回避・・・記者に「責任」を問われたくない
5:公式見解の遅れ+情報のばらつき+遅れ+不正確・・・決断できない
何を言ってよいか判らない+どうして良いか迷っている
6:茶坊主の配慮・・・“トップは会見に応じてもいい”と思っていても、取巻きが“殿の出番はまだ早い!”と保身により留める
7:より重大な案件とのバランス
(もっと悪い問題があるのに)“この位では社長は出ない!
これから色んな問題で記者会見が行われるの見る時、上記観点にて状況を俯瞰すると企業の姿勢が判るであろう。
人も会社も苦境の時、断末魔に直面した時、自分の身、身内の身が危うくなった時その人間の会社の本質が見事に露呈することを肝に銘じて、日頃の言動を律することが大切だ。