手元にある一冊の古書、これが私の人生を変えてくれました。それが、1949年(昭和24年)に世に出た『人に好かれる法』(近藤信緒著)です。
同書との出会いは、40年位前、古めかしい茶色に日焼けしたこの本を何かで手に入れ、一読して深く感動!その後「座右の書」として片時も離したことはありません。
神戸製鋼時から、神戸―東京を往復し、また海外は、駐在したカタール・オーストラリア・ドイツをはじめ数十カ国、つまり私と共に中東、南・北半球と世界を回ったのです。
簡素な中に潤いのある内容と断定的な表現による男性的力強さに惹き付けられ、いつもわくわくした想いで何度も読み繰り返す私は、生涯心の師として、日々の過ごし方や人との接し方を学ぶのでした。
どこを読んでも、あるべき姿を示唆し反省と改善を促してくれます。特に我儘に育ったせいか好き嫌いの多い性格を少しでも改めることができ、心も広がったような気がします。
その本の最後に、「人に好かれる50か条」が短文でまとめられていて、どれも示唆に富む内容ばかり!その最後の50条目が次の「好かれる極致」なのです。日々これを想い、自省の一時を過ごす・・・。
「人に好かれようとせずに好かれ、嫌われていヽものに嫌われる。自分の好む所に自分をおいて好むものに取りまかれ、何の技巧も努力もなく気儘に振舞って嫌われない。自分より高いものに好かれて硬くならず、自分より低い者に好かれて汚されず、人の嫌悪を超越して悠々自分の仕事をし、生活を楽しむ。天もよく、地もよく、人もよく、すべてが自分のためにあると満足して愛して行く、こう言う好き方好かれ方がその極致だ」