しかし、笑いが多いから朗らかだとは限りません。
ギリシャの哲学者エピクテートスは
「大笑いするな、多くのことを笑うな、しまりなく笑うな」(『人生談義』)
と下手な笑いを戒めています。何に対してどんな笑いをするか?に人間の程度が現れてしまうのです。テレビなどで、何にでも大笑いの誘惑から逃れてみると、自分をクスクス笑えます。ほんとうは暗いエセ陽気者に気をつけましょう。
私たちが会う人ごとに素朴で自然な、誠実な親しみをもって接しようとすると、相手と必ず陽気で朗らかな関係が生まれます。子供の頃の善良な気持ちになれるのです。それ程与えるものはなくとも、ささやかな親切や優しいことばは、誰にでも、いつでもそしてどこででも差し上げることができるのです。それが陽の光として暗い心を少しでも明るくすることでしょう。
ドイツの哲学者ショーペンハウアーは
「幸福を与えるものは朗らかさ以外にはなく、無上むじょう至高しこうの財宝である。朗らかさにとって富ほど役に立たぬものはなく、健康ほど有益なものはない。完全な健康から朗らかさが花と咲き出るように心がけるがよかろう」(『幸福について』)
と健康を、富・栄華・名声ましてや淫蕩や快楽など、どんなものよりも優先せよと元気付けてくれます。
自分の力で健康を維持増進することは、人間としての義務です。つまり、できるだけ長く二本足で立ち、歩き、頭脳を明晰にして人生を貫こうとすることは、人間の使命なのです。
生活習慣病とは、厳しく言えば、人生怠慢病でもありましょう。自分が健康への努力さえ怠らなければ身近な人に不安や迷惑をかけることを少しでも避けられ、少なくとも遅らせることができるのです。 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に悩む人は、陽気さから遠ざかる上、好かれることからも次第に遠ざかる悲哀を実感するでしょう。
「昨日下向き、今日うつむき、明日は後ろ向き
・・・・だから、嫌われる」