オノ・ヨーコさん! ご承知の通り、ジョン・レノンの奥様だ。最近、ヨーコさんの事を思う一時が長くなっている。何故なら、1933年生れの85歳で丁度一回り12歳上の酉年、しかも誕生日が同じ2月18日という奇遇機縁が判り、親しみがあるからだが、それ以上に彼女の多くの書籍を読み、音楽を聴いてその考えや生き方に共感共鳴を覚えるからだ。
今朝、『オノ・ヨーコ 今あなたに知ってもらいたいこと』(2009年幻冬舎)を再読した。これまでの講演等をベースに「弱者の立場」「陰と陽との関係」等25テーマに対しての考えが語り掛け調で記述され、ヨーコさんの考えが実に良く判る本だ。
どの項目も示唆に富むが、その一つを紹介しよう。
冒頭の「弱い立場」にこうある。最初要約すれば:
・・・70年以上の人生で様々な出来事を体験。東京大空襲、NY在住、30歳で長女京子、42歳で長男ショーン出産、人種差別・女性差別、ジョンが目の前で射殺、そしてその後の世界からのバッシング・・・。そんな中でよく強い人間でいられるのでしょうか?と聞かれる。自分は決して強い人間でなく、自分では弱い人間と思っている・・・。
「人にも強い人、弱い人がいますが、やはり弱者には弱者の生き方があるのだと思います。弱者
は、それを知っていて慎重にものごとを観察するようになります。」
写真をとる時、どうぞ真ん中へと言われるが、
「でも私は、隅っこに座らせてもらいますと言いました。隅に座るほうがよく観察できるからです。
中心に座ってしまうと人は私のことを見ることができますが、私はみんなを見ることができない。
中心でなく隅っこにいる。そうすると、色んなことが見えてくるんです。私は片隅に座って過ごして
きたために生きながらえた女だと思っています。」(中略)
「どこに座るかということに神経を使ってください。(中略)そういうことを感じたときに、その座るとこ
ろをちょっと変えてみるのもいいのです。そうすると今まで気がつかなかったいろいろなことがわ
かってきます。そして、また、自分の椅子に戻ると新たな力が出てくるでしょう。」
大切にしている別な箴言あり:
「暗い所にいる者は、明るい所をよく見ることができるが、
明るい所にいる者は、暗い所を見ることができない」(佐藤一斎『言志四録』)