「東京と福岡」コラム原稿
高嶺(たかね)の月よ
「いざ起て健児諸共に行手の雲を払いつつ
向上の意気天を衝(つ)き高嶺の月に嘯(うそぶ)かん」
これは我が母校嘉穂高校歌4番の歌詞。私の原点は常にここにある。
■いざ起て:挑戦への意欲、堅確の意志、 即断の実行力、
■健児諸共に:友への敬意・信頼、
奮い立つ友情
■行手の雲を払いつつ:
眼前の困難への挑戦、勝利への闘魂
■向上の意気天を衝き:燃え滾る情熱、
難関を貫く大義、絶えざる勇猛心
■高嶺の月に嘯かん:凛々たる孤風、
大志を目指す心意気
この詩は、挫けそうな時、苦難の時にいつでも、強い闘魂を与え励ましてくれます。人生は闘いです。
「時々刻々に我々を悩ます小さな災難は、来るべき大きな災難に耐えるように、我々を絶えず訓練するためにある」(ショウペンハウエル『幸福について』)のです。この校歌の激励によって高校バスケット九州制覇が果せたり、その後の苦難も何とか乗り越えられてきたものと感謝しています。
九大を経て神戸製鋼に入社、海外(カタール、豪州、ドイツ)に10年駐在し50数カ国訪問の幸運に恵まれましたが、常に郷里を想う自分がありました。多くの異宗教・異人種にも臆せず友好に交際できたのも、川筋気質を持つ福岡県人である誇りを胸に秘めていたからに違いありません。
「人生は使い方を知れば長い」(セネカ)そうです。還暦を過ぎても先はまだ長い。これから少しでも修養して福岡県人としての教養を身につけたいものです。教養は単なる物知りでもなければ、程度の高い教育と言うことでもない。「真の教養とは、いかなる条件の中にあっても、自己の尊厳を崩さず相手の立場を理解してこれを善処し得る能力である」(『人に好かれる法』近藤信緒著山見博康編)といいます。
現在、広報コンサルティング業を営む中、去る4月と今月広報専門書を上梓しましたが、執筆や講演の際には略歴に「嘉穂高校」や「福岡」の記載をお願いすることにしています。
微力とはいえ知名度向上への役立ちを想い、夜道高嶺の月へふと微笑みかけるこの頃です。