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|01│山見博康の「社長が広報を兼ねる」………広報は人を育てる
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■トップに接近しよう
毎年4月に新卒が入社し、それぞれ配属が決まります。入社後すぐに広報部門 に配属される新入社員もいるし、数年経ってからローテーション人事で広報担当の辞令をもらうことも多いでしょう。
いずれの場合においても、まず「これは運命の女神がついているぞ!」と喜ぶべきです。その理由は下記の通りです
1.広報担当になることは、第一級の人材の証で
す。
これからの企業は、広報に第一級の人材を充当しなければ、相対的に衰退します。なぜなら報せる競争に負けることは、業績に響き、長期的なイメージ低下をもたらすからです。
2.社内上層部との接触が自由です。
広報はトップに最も近い部署です。なぜなら社長が脳とすれば、広報は顔だからです。
脳の考えていることを咀嚼(そしゃく)して、対外的に関係する人達にそれぞれの部署からどのように発信し或いは発言するかを決定し、各部署に指令する役目です。
顧客には営業部から、協力会社には購買部から、銀行・保険などには経理・資金部から、地域社会には総務部から、そして遠くの多くの人達にはメディアの協力を得て公式に発表し、正統に伝達するのです。
新任担当者でもトップと接触できるチャンスはその気になればいくらでもあります。社長と各役員に何かのきっかけをつかみ、進んで接触する努力をしましょう。自分を覚えてもらうことが大切です。
広報の仕事柄、他部門の役員にも何かテーマがある時に上司と一緒に行くチャンスを逃してはなりません。積極的に同行しましょう。他の部門長と直接会え話ができる一つ一つのチャンスを活かすのです。これは広報という全社的でかつ機能横断的業務をもってして、出来得ることなのです。
3.キーパースンを探せ。
広報の仕事は「見えないものを見る仕事」です。「見えないものでも見ようと
する仕事」という方が正しいといえます。「空気を読む」位では物足りません。
「香を感じる」位の感受性を持つ必要があります。感性を常に「ON」にしておくことです。そして、各部署のキーパーソンを 見出して置くのです。
キーパーソンになり得る人物とは:
▽業務に精通している人
▽ビジョン実現にロマンがある人
▽コミュニケーションに深い理解があ り、重要視している人
▽裏話をこっそり教えてくれる柔軟な人
▽役職にこだわらず是々非々で言行する率 直な人
▽上司に強く、部下に優しい直言の人
▽会社に希望と憂慮を併せ持っている人
このような人物に見出されるには自分自身を磨くことです。それは自分の資質と仕事に対する姿勢・態度にかかっているからです。広報の仕事を通じて、社内外の優れた人物に接する機会がある好運を自らの成長の糧とバネにしましょう。実際仕事を進める上において、このような各部門のキーになる人と仲良くすることです。
会社のビジョン実現に意欲的な人は、会社の将来に希望を持ちつつ、いつも憂いと危機感をも抱いているに違いありません。その憂いは向上への並々ならぬ意欲・情熱の別な現われなのです。
役職にこだわらず、優秀な人物を見極めるのです。また共に成長できる若手とも親しくなっていると、将来きっと役に立つものです。なぜならその人たちは必ずやラインの中枢を歩んで行く可能性が高いからです。意気投合すれば、共に会社の将来を担っていく同志になる運命にあるかもしれません。
一方では、今はある程度重要な地位、例えば課長や部長のポストにいたとしても広報やコミュニケーションに余り重きを置いていない堅物もいることでしょう。
しかし、そのような人物には儀礼上は立てるとしても、そこそこの付き合いにしておいて結構です。今の時代に広報の重要性が分からない人は早晩いなくなることでしょう!組織はそんな人物を淘汰して行きます。
反面、そのような感性なき輩(やから)に要職を与えるような会社は先行き危ないともいえます。そんな人物が横行し、蔓延るようになった組織はいつしか衰退し、消滅する憂き目に遭うことは自然の成り行きです。
4.社内人脈を広げることができます。
これから広報の仕事を遂行するにあたっては、社内にどのくらい人脈をもっているかによって、仕事の精度とその内容の厚みに大きく影響を及ぼします。将来、中枢を担っていく気概と実力を兼ね備えた優れた人物からは、学ぶことも多いものです。
広報は社内の優秀な人材を選んで接触し、重要情報を得ることが重要な業務ですから、どの部署のどの部長或いは課長がその部を取り仕切っているか、若手でも誰が部長や課長の信任を得て将来性があるのか・・・が分かってきます。
そんな人達はラインの中枢を歩く人物です。今後の人脈リストに加えておくことです。
また、人物識見に優れた尊敬に値する経営幹部からは、積極的に接触のチャンスを増やし、何かと教えを請うことです。それはゴマすりではありません。指導を仰ぐ姿勢です。所詮、そのように接していると、熱意ある向上心の強い将来を託すことができる若手に育つかもしれないと期待されるようになります。そうなれば、きっと目をかけてくれます。
昇進の意欲のない人間には覇気も情熱も欠けるものです。自分の為すべき事を為し、成したい事を達成し、ビジョン実現を図るには、自分に忠誠を尽し、自分の意図を叶えてくれそうな部下を必要とします。
上層部に成れば成る程一人でできる仕事はありません。そのためにも、多くの支持者が必要なのです。そんな人物に目をかけてもらえれば、厳なるも温なる指導も仰げることになります。
仕事のスピードと緩急も、そのような人物に喜んで協力してもらえるかどうかにかかるのです。上の人に引き立てられる人物は、大成の可能性が大いにあります。新任担当の頃から、自分の意志をしっかり伝えようと多くのチャンスを生み出す努力をしましょう。
新渡戸稲造も
「何すれぞ、我が思想の我が狭小なる頭脳より閃光一射して、羅針盤の記さざる方向に馳せ、地理書の語らざる世界に飛び去るかな」
と勇気づけてくれます。
優れた尊敬できる人物に出来るだけ接して学ぶ志は、単なるゴマすりと区別されるべきです。本当に偉い人物に可愛がられることを恐れてはなりません。えらい人は可愛がる若手を選ぶのです。逆に若手は可愛がっていただく人物を選ぶことです。
3月セミナー講師:
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【山見博康記】