■危機にいかに対応するか(1/2)
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最近、企業の不祥事が相次ぎ、メディアを賑わせています。これから数回、不祥事にみるメディア対応と経営における広報のあり方に関して考えてみましょう。
例えば、洋菓子のパイオニア不二家は百年近く、洋菓子業界のパイオニアとしてトップメーカーの地位を築いてきました。「愛とまごころと感謝を込めて、お客様に愛される不二家」と社是に、長年愛されているペコちゃんブランドは他社の追随を許さない独自のブランドとして、子供から大人までの心を掴んできたのです。
ところが、昨年11月埼玉工場で消費期限切れの牛乳使用が内部告発によって発覚。しかし、経営陣は「マスコミに発覚すれば雪印の二の舞になる」と内部文書を配布し、問題の公表も見送ってしまったのです。
本年1月その事実を公表すると共に、全店舗で洋菓子販売を休止。各工場における同様の不祥事発覚に伴い、大手スーパーやコンビニで同社製品の販売中止が広がり、食品衛生法違反の疑いで農水省による立入り調査が行われました。
創業者一族の藤井林太郎社長は責任を取って辞任、新社長に創業者以外から初めて桜井康文取締役が昇格、再発防止体制構築と信頼回復の難題に取組み、製造再開に向けて山崎製パンの品質管理に関する技術支援を受けてきました。
3月26日、両社は資本業務提携で合意、不二家は山崎の傘下での経営再建を
目指すことになり、長年続いた創業者一族による経営は幕を閉じたのです。山崎の技術支援を受け、衛星管理面でも信頼を取り戻す努力した結果、4月にはローソンやイオンが、全国で不二家製品の販売を再開しました。
子供たちのみならず万人のアイドルペコちゃんの大きな目に、涙は似合わない。
ペコちゃんの悲しみはみんなの悲しみ。子供たちにもう一度その笑顔を取り戻す道程が出来たのです。そこで、この企業危機を検証しつつ、広報活動の本質を見極めて、今後の経営のあり方について考えてみましょう。
■不二家の不祥事の要因
1.同族経営:長年続いた同族でのたらい 回しトップ人事によって、社内にぬるま湯体質が蔓延し、都合の良い情報しか上がらないためトップの危機意識が薄弱になった。食品会社として安全衛生への危機意識もなく、会社全体が甘い体質に陥っていた。
2.業績の低迷:ここ数年、連続営業赤字のため品質よりコスト、顧客より会社優先となっていた。厳しい目標設定により、現場では不良品の減少・歩留り向上などのコストダウン達成に過度の実践を強いられ、安全衛生が後回しとなった。
3.コンプライアンス意識の欠如:社内基準の設定数値そのものに問題があったことが露呈。各工場でも多彩な不祥事が次々に明らかになり組織ぐるみと判明した。
4.隠蔽体質:多くの関係者が不正を知りながら、内部告発でようやく表面化。
5.マスコミ対応に不誠実さが露呈:トップは記者のインタビューに無言・無表情で逃げ隠れして、不信感を増幅した。
(次回に続く)
ご参考
4月出版した『人に好かれる法』『だから嫌われる』は読売・毎日・産経など多くの書評に取り上げられありがたく存じます。更に前者の著者近藤信緒こと池田敏子さんが山形生まれなので、山形新聞で大きな記事になり、山形放送からも取材を受けました。
後者は、ある大阪の東証一部上場住宅会社社長から全社員に読ませると千部以上一括注文があり重版になったのです。社員教育用への利用とは願ってもないありがたいことです。
また、夕刊フジの記事においては「現代サラリーマンに最も伝えたい金言として池田敏子の言葉を引用し『真の教養とは自己の尊厳をくずさず相手の立場を利用してこれに善処し得る能力』です。誰に対しても卑屈にならず、いつまでも自己の尊厳を崩さないでください」と鬼上司や鬼嫁の前でも自己の尊厳を忘れずべからず!?と紹介されています。
【山見博康記】