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│01│山見博康の「社長が広報を兼ねる」…………………上手な危機終了の対応
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 ■危機終了時の対応(1/2)              
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 これまで、事件事故などの問題への事前準備から発生した時の具体的な実施方法、あるいはその時の心得などについて解説してきました。次に、終了時の対応について、どんなことに注意したらよいのかについてお話しましょう。  
                                    
(1)まず謝罪表明し再発防止策を明らかに               
もっとも大切なことは、顧客・取引先・関係官庁などへきちんと謝罪表明することです。                              
 その場合には、マスコミを通じて、きちんと社会にお詫びの姿勢を表明することはもちろんですが、顧客や取引先、それに地域社会にもきちんとお詫びすることが大切です。企業は単独では生きていけません。地域社会の支持・支援があって会社は成り立っていくのです。                             
 そこで、実際の行動としては、社長を初め、幹部が、率先して主要な顧客や取引先に個別訪問して、実情説明を行い、今後の見通しについて、会社として開示することが望ましいのです。                          
その際、もっとも心配しているポイント、つまり再発防止に関して確固とした対策を立てることが重要です。それを直ちに実施するとともに、きちんと公表することです。                                   
 その公表のタイミングなどは、ケースバイケースで、臨機応変の対応をしなければなりません。 
                                                
 ■イメージ回復へ(2/2)              
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(2)信用回復・イメージ回復へ             
 事件・事故によるもっとも大きな損失は、金額的な面もありますが、実は「信用」を失墜させることです。企業危機に遭遇したこと以上にその対応いかんで企業の真価が問われることになります。     会社として不利な状況また不遇な局面に陥ったときのトップの真摯な姿勢が信用を高めることにもなるし、逆に、長年営々と築いてきた信用を一挙に喪失することにもなるのです。                              
 そこで、原因を究明した結果を公表することも大切ですが、責任の所在を明らかにして、綱紀粛正に向けて、透明性ある措置をとることです。これは、対外的にも必要ですが、やはり社内的なけじめという意味もあります。     
                 
 また、地域社会との信用回復につながり、それによる地域との融和に関する施策を考えることも大切です。                   
 その地域で仕事ができることは、正にその地域の皆様に受け入れていただいているから可能だという感謝の気持ちを表す施策を何か実行するとよいでしょう。
                                    
 事態が沈静化した段階では、記者クラブなどに対して、トップが記者会見し、きちんとした内容で公式にお詫びすることになります。          
                                    
 さらにこれまで培ってきた記者一人一人を通じて、社長自ら率先してメディアに協力しつつ一歩一歩回復していく地道な広報活動を継続していくことが大切です。場合によってはお詫び広告を出すケースもあります。会社の財産は「信用」です。                              

【山見博康記】