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│01│山見博康の「社長が広報を兼ねる」…………………危機が起きたら・・・
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 ■「五つの直」(1/2)                   
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 「直視すれば真実が見える」といいます。現場ではこの直視ほど大切なキーワードはありません。そこで現状をしっかり把握し、徹底的に原因の究明を行うことが大切であります。                    
 そして当面緊急に何を行うべきかということと再発をいかに防止するかを議論し、その対策を立てることが次に行うべきアクションです。        
問題を起こす企業は、もともと直視しない慣例のために、現場でも見逃す、あるいは見ない振りをすることに慣れきっています。                  「長いものには巻かれろ」また「臭いものにはふたをしろ」というように、正視しないことが身に染み込んでいるのです。その結果、言うことを曲げたり、曲げざるを得なくなったり、好むと好まざるにかかわらず、書類を改竄せざるを得なくなるのです。
そして悲しいかな、遂に社長でさえ、見て見ない、あるいは聞いても聞かない演技に誇りをも捨ててしまうのです。長年、現場もトップも逃げてばかりで直視しようとしないところに危機の真因があることを肝に銘じていなければなりません。                        
特に日ごろ社員にはよほど注意していないと悪いことを上に上げなくなります。
それが自分の人事評価につながり、給与やボーナスあるいは昇進・昇格に関係してくるとなると、なおさら直視し、それを報告することがおっくうになります。
しかしながらそれには、客観的に直視する仕組みが要るのです。      
                                    
 ■メディアに「直報」せよ!(2/2)        
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 そして、準備が整ったら、二つの直報を行わなければなりません。一つは出来るだけ早くトップが率先してマスコミに直報することです。        
                                    
 タイムリーに記者会見を行い、誠実な態度でウソ無く、今起っていることをきちんと開示、情報公開姿勢を貫くのが大切です。この凛然たる姿勢によってメディアの共感を得ることができます。                 
                             
 もちろんQ&Aをしっかり作成し、今開示できることと、今は開示できないことを明確に分けて対応することが大切です。              
                                    
 その際「発言を一つに、一人に、一元化」して的確な対応を行うことを忘れて はなりません。改めて申し上げますと、刻一刻の状況を最も知りたがっている人達は、決してメディアだけではありません。              
         
 それは、読者・視聴者、つまり企業にとっての既存顧客・潜在顧客であり、さらには、多くの社会の人達であることを片時も忘れてはならないのです。マイクを差し出す記者の顔が最大の顧客に見えるトップなら、「俺は寝てないんだ」という発言に恥の極みを知るものです。                 
                                    
 メディアは顧客・社会の代表者なのですから・・・。二つ目は、一般にも直報することです。HPにリリースを掲載したり、イントラネットで社内にもアナウンスし、きちんと情報を伝え、透明性を貫く必要があります。      
                                    
 この「五つの直」の実践は、どの部署においても心すべきビジネスの要諦でもありましょう。日々の業務においても、ぜひこれを心がけてください。きっと甘美な果実が得られる日が待ち受けていることでしょう。         

【山見博康記】


作成日:2005-03-17