新時代!社長が広報を兼ねる(連載) [2003/07/15配信] 


 ■記者は怖くない(2-1)
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 記者のイメージは普通「怖い人」でしょう。あるいは、通常のビジネスとは異なった世界に住んでいる人と思っておられるかも知れません。つまり、事件や事故のときに経営陣を追求する姿をすぐに思い浮かべるからです。

 メディア戦略を成功裏に推進するためにはまず敵を知ることが大切です。敵を知り己を知って戦えば百選危うからずと故事にあります。

 もちろん、記者は企業拡大の最大の協力者ですから、敵ではなく味方です。いや味方につけることです。いわゆる「親派」になってもらうことです。そこで、私が記者との20年以上のお付き合いを通じて得た記者像を率直にご紹介しましょう。独断と偏見もありますが、それは皆さんの判断にお 任せいたします

【1】記者は怖くない
    ・・・優秀なるビジネスパースン

 メディアは原材料として、ニュース素材を仕入れ、価値ある記事として報道するビジネスです。社員である記者は、他のメディアよりもニュースを求めて活発に取材活動しています。

 あたかも企業の販売員が飛び込みセールスをするごとく、夜討ち朝駆けなどの飛び込み取材も日常業務の一環です。つまり、記者は皆さんの社員と同じなのです。

 怖いどころか優秀なる記者はビジネスに長けたビジネスパースンであり、組織の一員なのです。従って、お客様や取引先の社員と同じようにきちんと対応すればいいのです。

 私が広報係長になった79年頃はまだまだ記者は特別の存在で過剰な使命感を抱いた記者や一匹狼的敏腕記者もいましたが近年は普通のビジネスピープルになっています

■記者の正体(2-2)
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【2】記者は正義の味方

 ところが、情報公開を拒否する会社、悪事を働く経営者にとってはそれは怖い存在です。記者は正義感が人一倍強く、社会の秩序を乱すようなことに対しては本能的に対決する正義の人なのです。

 庶民に成り代わって、悪事を暴き、美談を推奨して世の中を美しく住みやすいものにしていく篤志の人でもあります。特に、権力者がその権力を傘に悪いことをしようとすると、庶民の味方として徹底的に懲らしめます。

 記者は月光仮面や水戸黄門でもあり、スーパーマンでもある。また時にはねずみ小僧にも変身するのです。社会の公器、国民の知る権利の代弁者として、ともすれば明るみにでないことを世のためとあらば公にしていく重要な役割を果します。いわば使命感とロマンに満ちた騎士といえましょう。

 もちろん、中にはそれが行き過ぎて相手の都合も考えない傍若無人ぶりを発揮して平気な困った記者もいるので注意を要します。あるいは、思い込みや知ったかぶりで誤った報道をするケースもあるので、丁寧な説明を怠らないなどの配慮が望まれます。

【3】記者は報の道を究める人

 報道を「報せる道」と呼びます。つまり剣道や茶道と同じく「道・どう」であり、真理を追求姿勢を重んじます。

 つまり記者はその道を究めようとする「求道者」といえます。ある時には滝に打たれ、座禅を組み、厳しく困難な報道学探求に没頭します。既にその道を究めた人もいますが、まだその途上で険しい山岳を登り下りしている修行の身である人も多いのです。しかし、未熟な求道者を忘れてしまう記者も時にはいます。        
 

【山見博康・記】