新時代!社長が広報を兼ねる(連載) [2003/01/15配信] 

■広く報せれば多く売れる(2-1)
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 行商のおばさんはなぜ大声で叫ぶのでしょうか?理由は簡単です。それは報せているのに他なりません。そうすれば少しでも多くの通行人が買ってくれるでしょう。それでは、声の届かない所やそれ以上離れた隣村や隣国に報せるにはこのような方法では不可能です。
 そこで生まれたのが「かわら版」なのです。そのかわら版に記事を書いてもらい他の地域にも報せたことが、今日の新聞の始まりとなりました。それが次第に広がって地方紙や全国紙の新聞となっていわゆる大衆媒体=マス・メディアと発達していったのです。
 大量生産から大量消費へつまりマス・プロダクションからマス・マーケティングへの発展は、結局大衆伝達=マス・コミュニケーション(マスコミ)の発達によって可能になったもので、マスコミの力なくして大量生産時代はなかったことは明らかです。
 私は77年から2年間中東の産油国カタール(首都ドーハ)における神戸製鋼と現地政府との合弁製鉄プロジェクトに従事しました。同国にて豊富に産出される天然ガスを利用した製鉄所建設操業のためですが、そのときトヨタやダットサン(ニッサン)に乗っていました。多くのカタール人や出稼ぎのエジプト人やインド人などもそうでした。なぜそんな砂漠でも日本車が普及しているのかというとやはりメディアが報せたからです。
 トヨタ・松下・ソニー・京セラなどかってのベンチャーが中小企業となり大企業と拡大したのは。その製品の優位性を大きく報道してくれたマスコミの力があったことを忘れてはなりません

■広報の本質とは!(2-2)
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 従って、ビジネスの本質の流れに、「自社商品・サービスを知らない人に広く報せること」が必要条件になります。「知らない人は買えない」し、「知らない人には買っていただけない」のであります。売りたい側からいえば、「知らない人には売れない」また「報せなければ、売れない」「知っていただかなければ買っていただけない」ということになります。
 更に、購買の立場からすると、「自社のことを知ってもらえなければ、売ってもらえない」といえます。これから大きな企業になっていくには、自らの商品・サービスを広く報せる努力を継続しつづけることが絶対に必要なのです。つまり「広報は経営の一部」なのです。
 よく会話の中では「この商品はこれからPRしなきゃ」などとPRという言葉がてきますが、そのPRとはパブリック・リレーションズの略です。文字通り訳すれば、「パブリック=大衆との良好なリレーション=関係作り」といえます。
  ビジネスの観点からいえばパブリックとは、顧客、取引先株主、従業員、マスコミの人達に加え、一般消費者、官公庁、更に地域社会の人達など企業を取り巻く関係者を広範囲に含んでいます。
 英語で「Stakeholderステークホルダー」といって「利害関係者」と訳されています。PRのなかに、メディアリレーションやインベスターリレーション(投資家向け広報)など対象によって分けられるといわれます。しかし、私は「企業広報」としては、これらを包含し経営としてのより高度な観点から広報を捉えるべきだと思っています。  
           【山見博康・記】

作成日:2003-01-15