高知新聞朝刊1面コラム「小社会」に次のような記事が掲載された。
さる、4月10日(水)編集者であるダイヤモンド社田村譲司氏の故郷高知にご一緒した時、高知新聞に『人に好かれる法』と『だから嫌われる』を紹介しておいた結果、もっとも有難い欄に取り上げていただき感激しています。感謝!
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2007年04月22日
▼「我々の行為を決するものは昔のギリシャ人の言ったとおり、好悪のほかにはないのである」。こう断じるのは芥川龍之介の「侏儒(しゅじゅ)の言葉」。
▼そうであるなら嫌われるよりは好かれたいと願うのが人情。4月から新しい生活を始めた子どもや若者にとっても気になることだが、現実には思うに任せないこともある。ちょっと刺激的な本の題名に引かれ、近刊「だから嫌われる」(ダイヤモンド社)を読んだ。
▼長い会社勤めを経て実業家に転じた山見博康さんという人物が、60年余りの人生経験をもとに、50カ条に及ぶ処世訓を反語的に解説している。毒気を盛った創作警句をまぶし、「だから嫌われる」と落とすのがみそだ。
▼例えば処世訓の第一条は「約束を守れ」という決まり文句だが、これに対応する警句は「軽く約束、軽く破る」。以降の警句を拾ってみると、「昨日下向き、今日うつむき、明日は後ろ向き」「大袈裟(おおげさ)、大雑把(おおざっぱ)、大風呂敷」。「気付かない、気遣わない、気が利かない」。こんな具合だ。
▼この本の下敷きになったのは戦後、大ベストセラーになった「人に好かれる法」。著者は実用書の池田書店(東京)を創業した池田敏子さん(故人)で、自らの処世訓50カ条を巻末にまとめている。これを辛口に翻案した結果が、言葉の上では対照的な「だから嫌われる」という本につながった。
▼嫌われないように心掛けると人に好かれる。好かれるためには嫌われることをしない。対語に見えながら好悪は意外に近い関係にある。
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