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       『至誠の咆哮』
   今日のテーマ:100条「口が固い」
    2010年1月31日(日)
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口がかたい 

あの人は口がかたい、というような信用のある人には、誰でもその人に、いろいろな事が打ちあけられます。しかしいくら口がかたくても、その人間が馬鹿だったら、誰も相手にしないでしょう。人の話がよくわかってしかもしゃべらない、というところにいいところがあるのです。
言いたい事を言わないと人間は心が腐る。だから口のかたい人は多くの人のよい友達になれるものです。

「ここだけの話」の連発は、話の重みを軽くするもの。時々使うのは、一つの枕詞としては有用でしょう。自分が特別の、秘密ルートから入手した情報或いは諜報を、あなただけに特に打ち明けるという、ジャーナリスティックに言えば、「スクープ情報」ですので、重みをつけたい意味もあります。
これを時に「リーク=Leak」と言います。「漏らす」ことです。政治家が自らの主張を第三者に言わせたいときなどによく使う手でもあります。

最近、小沢問題で検察のリークだ!と騒ぐ民主党議員もいます。

人は物事の裏話や人の噂話、人の過ちや不幸をこっそり聴くことに、心地よい快感を覚えるもの。同情の顔とほくそ笑む心とのギャップがあればある程、その爽快感は高まり、その自分を第三者的に見ながら、
恍惚感にも自由に浸れるものです。人から内証を打ち明けられるとたん、こちらの弱身になるものです。

「吾胸の底のここには、言い難き秘密(ひめごと)住めり」(島崎藤村)

といいます。我が心に聞けば、8-9割は少しの秘密が潜むもの。

三島由紀夫は「どんな人間にもおのおののドラマがあり、人に言えぬ秘密があり、それぞれの特殊事情がある」(『私の遍歴時代』)といい、

「秘密というものは楽しいもので、悩みであろうが、喜びであろうが、同じ色に塗りたくってしまいます」(『美徳のよろめき』)と秘密の真髄を突いています。

自らの秘密を打ち明けることは、「告白」であり「懺悔」となるのです。「告白癖のある友人ほどうるさいものはない」(三島由紀夫)といいますので、願わくば、告白する立場ではなく、それをじっくり聞いてあげる立場にいたいものです。

それは、牧師やお坊さんの役割でもあります。