「人に好かれる法百ケ条」第六十七条
   
 第六十七条 よくやる奴 
 
 世の中には口ばかりで実行家が少ない。三日坊主はいくらもあるが、言い出した亊を実行しつづける人はなかなかない。理屈三分実行七分という人はなかなかたのもしい。うまいことをいうといわれるよりは、よくやる奴だといわれるようでなければならぬ。
 思いがけぬことをやる奴だといわれるようなら上々だ。

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 小倉昌男ヤマト運輸創業者は、宅急便事業を推し進めるにあたって郵政省や運輸省と激突し、多大なる障害を乗り越えて今日の基盤を築いた方ですが、その著書『やればわかる やればできる』のおわりに、次のようなことばが記されています。
 「私は、経営は論理だと思っている。だから、考える必要がある。考えて、考えて、考え抜く。でも、わからないことがある。その場合はやってみることである。やってみればわかる。やらなければわからない。これは私の信条である」
 
 まさに、実行家の鏡です。とにかくやってみることです。すると、すぐ結果が出る。結果を見て次の手を打つ。そして結果を見てみる。また打つ手を考える。こうして臨機応変に対処していくのです。

 結果的には よく言われるPDCAのサイクルになってきます。切り替えが早い人は工夫があり、人がどうしようかと考えている内に次々とアクションを起こす人です。こんな人も「よくやる奴」といえましょう。
 また、自分で1つの目標を決めたら、とことんそれをやってみる人もいます。やりたい研究開発テーマを何が何でも追求する人や日に20件の飛び込み営業と決めたら、風雨も何のその、成約に結び付こうがつくまいが、兎にも角にもやってみる人もいるでしょう。

 そうして粘っている内に何かが見えてくるものです。そんな愚直さは、「よくやる奴」に通じます。
 堀塲雅夫堀塲製作所会長は、その著書『仕事ができる人できない人』の中で、長所と短所は裏表、あきらめの早い人は柔軟な発想をし、しつこくねばる社員は必ずいい仕事をする、つまりいずれも長所に転換できるといわれます。
 その根底にあるのはやはり「やってみること=実行力」なのです。
 その実行力を支えるものは、熱意、情熱でしょう。太陽の光では紙は燃えませんが、レンズで集光すれば火がつくのです。

 常識には発展はありません。非常識・前例破りからしか新しい展望は開けないのです。組織は、とんでもない発想とこれまでにない思いつきを重んじる風土にしなければ、早晩衰退の憂き目に哀しむことになりましょう。

 「思いがけないことをやる奴」が物事を大きく進化させるのです。