「人に好かれる法百ケ条」第六十四条
第六十四条 秘密
誰にでも秘密がある。知られたくないものを持っている。と同時に誰でも人の秘密は知りたがる。ききたがる。こういう癖の強い人はきらわれる。なるべく人の秘密には近よらない。知りたがらない。ききたがらない。
そういう人は信用される。秘密に関係した。事には口をはさまない。
こういう人は安心してつき合える。
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人はハダカで生まれます。地位・貧富などまったく分け隔てはありません。動物と同じです。成長するにつれて、寒さを凌ぎ、恥部を隠すために衣服を身にまといます。しかも、状況に応じて、服装を変え化粧を施すことによって自分を適切にあるいは過度に、さらには異なる自分を演じよう
ともします。人は多かれ少なかれ、常に装っているものです。
一方、心のあり方を考えてみましょう。どんな人も見せたくない自分と見せたい自分を持っており、日頃は、見せたい自分だけを自分の都合により出しています。こちらの方も常に装っているのです。
昔「心の四つの窓」(The Johari Window)を学びました。
人は四つの自分を持っていて、
A:開かれた窓=自分も他人も知っている自 分で、自由な行動のできる領域
B:盲目の窓=他人は知っているが自分は知 らない自分で、無自覚の領域
C:隠された窓=自分は知っているが他人に は知らせない自分で、隠蔽・逃避して いる領域
D:暗い窓=他人も自分も知らない自分で、 未知の領域
Aの領域をCの領域に拡大することは、他人に対しては開放的になり、自分自身の隠蔽・逃避している問題を無くすことです。それは同時に、自分自身を解放することにより、自分で気付いていないものを知ることができ、B領域への拡大にもなり、より自由な行動を取り得る可能性があるのです。
そうすることによって、Dの領域に少しずつ光をあて、自分の潜在能力を引き出すことになりましょう。
人の秘密を知りたいという意識は、他人のCやDの領域を知りたいあるいは暴いてみたい詮索の心とも言えます。これが強くでれば、嫌われることになります。
しかし、これを良い方に使えば、相手の良い面を見いだしてあげること、そして相手の潜在能力を惹きだしてあげることになりましょう。
相手の秘密を知ることではなく、相手の気づいていない良い面を見てあげて、それを伸ばしてあげようとすることは大いに心がけたいものです。