「リアヴューモニター」
・・大型車両の交通事故を減らそう・・・
昨年末、栃木県佐野市の空き地で中学三年の女生徒が遺体で発見された。翌日、大型トラック運転手が逮捕、バックで駐車しようして死亡させたものであった。「もしトラックの背中に目があったら!」かけがえのない少女の命は救われたかもしれない。
その背中に目を持たせてくれる企業がこの神奈川にある。日本ヴューテック(川崎、松波登社長)は、後方視界のない車両後部にカメラを設置し、走行中でもルームミラーを通して後方を見ることができる画期的装置“リアヴューモニター”を開発、現在急拡大中のベンチャーである。
従来製品では、バックギアを入れた場合しか後方映像を見ることができないが、リアヴューモニターは走行中でもOKという決定的な利点を持つ、唯一の国土交通省認可商品だ。
しかも、抜群の鮮明度を誇り、夜間走行時でも明るい。そのため、大型トラック・タンクローリー・ゴミ収集車なども、“乗用車感覚”で危険予知運転ができ、運転手の心理的ストレスや疲れも緩和されるなど、事故を未然に防止する効果は大きい。 また、左折時に死角のできるトレーラー等では、側面にも設置可能で、死角を無くし巻き込み事故防止の有効な対策となる。
この市場は、登録商業車数だけでも二千万台。既に日本車輌製造や日本興運、ヤクルト中央物流、平沢運輸などが標準装備として全車両に設置するなど、相次ぐ受注により、数年以内には、月産五千台体制を確立する方針である。
松波社長は「一台十数万円のコストで大幅な事故減少が期待できるので、標準装備する会社が急増している。さらにコストダウンを図り、後方視界の無いすべての車両に普及させ、交通事故を減らすことが私の使命であり社会貢献。今年3億円、数年後には50億円の売上を達成し、店頭公開を目指す」と自信を漲らせる。
昨年の交通事故死者数が、四十六年ぶりに八千人を下回ったことは朗報だが、それでも一時間に一人は死亡している。
「安全最優先」を唱える企業は、掛け声だけに終わってはならない。「安全へ、の投資」に対する経営者の姿勢が、今問われている。