産経新聞(神奈川版)連載No.19
    『ビジネスの羅針盤』


 横浜市の企業誘致活動
 ・・・ベンチャーも老舗もともに・・・

 横浜市は「創業するならダンゼン横浜」をキャッチフレーズに、ベンチャー企業誘致に向けて積極的にプロモーション活動を展開している。旗振り役の中田宏市長自ら率先してセールスを実施、向う三年間で三百五十社を誘致または起業させるのが目標。創業からある程度成熟した第二創業期の企業支援も今後の課題だ。その熱い誘いに応える起業が出ている。

 今年創業五十周年を迎えた老舗企業、建設コンサルタントの山田・エンジニアリング(山田昌弘社長)は昨年五月、東京から横浜に、本社を移転した。
 
 都および周辺四県の自治体を中心に事業を拡大、神奈川では横浜市および新日本石油グループを初めとする大手企業が主な顧客となっている。調査・測量から設計・保全までを総合的に遂行できる、他社にない体制構築ときめ細やかな顧客サービスによって、地道に信用を積み重ねてきた。

 “移転”は、お客さまにも喜ばれた。山田社長は「生れ育った神奈川には特別な思い入れがある。“横浜移転は第二の創業”と位置づけ、なお一層お客さま第一主義に徹して、地元に密着したビジネス展開を図る」と静かな情熱を燃やす。

 一方、欧州車の輸出入会社ヴェレインターナショナル(横浜・石原祐樹社長)は、近く横浜で、ファブジャパン社を起業する。昨年、ベンツの世界的カスタマイズメーカーであるファブデザイン社(スイス)の総輸入代理店となり、その初輸入車が、一月の幕張オートサロンにて日本デビューを果した。内外装における独創的なデザインが、ひときわマニアやメディアの目を惹きフラッシュを浴びた。

 ドイツで二十年以上輸出入を手掛けてきた会長の篠隈隆典氏は「横浜は進取の気質を持つ国際都市。外車を好む顧客も多く、また陸揚げも容易」と神奈川を基点に更なる事業拡大を狙う。  

 神奈川には、古さと新しさが相互に高揚し合い、革新していく歴史的風土がある。新規企業は言うに及ばず、老舗企業も日々変革を続け、競い合って、常に凛々たる志と颯爽たる気風を保ち続けることが永続繁栄の要諦であろう。