産経新聞連載コラムNo.17
「ビジネスの羅針盤」 


「ISO普及と神奈川ナブコ」
・・・ヒト・モノ両面での未来投資

 近年、国際取引の拡大と品質や環境配慮への要求の高まりに伴い、ISO(国際標準化機構)の国際規格を取得する企業数は加速度的に増えている。「9000」と「14000」シリーズがあり、前者は品質保証、後者は環境管理に関する国際規格である。最近は、「ISO」を入札条件にする自治体や企業も多くなり、取得企業も大企業やメーカーから中小企業、建設・流通・サービス業へと拡大している。

 自動ドアの県内最大手(シェア五割)企業神奈川ナブコ(横浜・原信治社長)は七月一日、地域販社としては全国で初めて「ISO9001」を取得した。

 原社長は、「快適で便利で安全な街つくりに貢献」を経営理念にお客様第一主義を徹底、ISO取得を決意。社長就任から半年後の平成十三年十月「ISO推進委員会」を発足させ、外部の専門コンサルタントに頼らず、十二人の若手社員に託した。 社員たちは品質方針やマニュアル作りに着手。本社・横浜支店・厚木支店などすべての事業所で「ISO」を取得するまで二年間を要しなかったのは画期的だ。

 範囲も、自動ドア、鋼製建具、防水水槽、防排煙設備、機械式駐車場などの設計から据付・保守サービスと幅広い。

 原社長は「ISO取得はゴールではなくこれからがスタートだ。認証に向かって社員の意識高揚が図れ、仕事に対する取組み方が格段に向上したことが予想外の効果。次は14000を目指す」とますます意欲的だ。
 
 不況下でも堅調な業績を挙げつつ、回転型自動ドアや高速シャッターほか独自製品を次々と開発するなど、ヒト・モノ両面での未来投資に積極的な同社は、県下におけるお手本企業の一つといえるだろう。