030707No.13
見習社員と企業の品格
「研修中」バッジは誰のため?
先日、大阪での講演のためいつもの通り新横浜から新幹線に乗った。しばらくして乗車券確認のために女性乗務員がいつもと異なり二人やってきた。一人の胸には「研修中」バッジ。後ろのベテランらしい女性に尋ねた。「そのバッジはなぜ付けているのですか?研修中かどうかはお客様である私たちには関係ないと思うのですが」と。すると「間違いのないように私がついているのです。そのご意見につきましては社内で報告しておきます」との答。その後どうなったか知らない。
そうして見てみると、銀行、書店、百貨店、スーパーなどでも「見習い中」や「アルバイト」と堂々?と名乗っている。なぜその必要があるのか?経営者はどういう意図なのか?を私なりに分析した。
① お客様に「見習い中なので万一、粗相があってもご容赦ください」と先に謝り、少しでも責任を軽くしようという魂胆か?。 しかしこれはお客様にとっては迷惑千万。正社員でもパートでも見習いでも構わない。よく訓練し、とにかく満足できる応対をしてくれさえすればいいのだ。ミスしてもご勘弁というのは自社の都合をお客様に押し付けていることになる。また新米とわかればお客様を不安にもさせる。
② 社内的には、「見習い社員がミスしないように注意せよ」とのサポート目的か? しかしこれは内部重視だ。社内用ならリボンなどの目印をつけるだけで事足りる。
③ 本人には、「見習い中を自覚し、業務に励め」との教育的意図か?しかし、これは本人の甘えを促し、逆効果であろう。
経営者がどんなに立派な人物でも、また日頃崇高なるビジョン・理念を唱えようとも、企業の真の品格は、お客様に接する最前線の販売員、受付や電話交換一つ一つの挨拶や応対態度によって決まる。そのことを少しでもないがしろにすると、賢いお客様は黙って去って行くことを忘れてはならない。
経営者の考え方はちょっとしたことに現れるもの。いつもお客様の立場に成り切り、個々の言動にも細やかに気を配る会社は、いつの時代でもきっと成長繁栄するであろう。