「リーダーの健康と禁煙」・・・組織の健康増進が使命

 今月一日、「健康増進法」が施行された。とくに他人のたばこの煙を吸い込む「受動喫煙」の被害防止を求めたものだ。
 首都圏の私鉄駅と高速道路のサービスエリアの大半が全面禁煙となり、すでに実施中の航空機と同様、外食産業や三越横浜店など百貨店も全面禁煙を全国に拡大、神奈中ハイヤー(厚木市)のように禁煙タクシーも増えるなど企業においては次第にその広がりを見せている。

 世界に目を転じると、がんや心臓病といった「たばこ病」の地球的広がりを世界百九十二か国が協調して抑え込もうと世界保健機構(WHO)が主導する「たばこ規制枠組み条約」が今月成立見込みである。日本の成人男性の喫煙率はようやく半数を切ったとはいえ米国、英国(二十八%)、スウェーデン(十七%)などに比べ先進国ではワーストだ。たばこが健康に与える被害は科学的証拠で決定的に証明されている。国としても禁煙率低下に向けて着実な対策が必要であろう。

 企業は法人といわれる。経営とは、個々の細胞(社員)を活用し、人の身体(企業体)をいかに健康(健全経営)にし、さらに増進(業績向上)させていくかである。細胞を常に活性化し、組織が機能障害に陥ったりあるいは腐らないように組織の健康を増進することが大切な使命である。その日々の活動が経営といってもよい。
 
 経営者はまず自分を、そして社員、会社を健康にし、さらにお客さまに喫煙の被害を絶対に与えないようにしなければならない。欧米では喫煙者は経営幹部にはなれないという。喫煙者はいわば健康加害者ともいえ、リーダーになる資格はなかろう。

 それは自治体幹部も同様だ。県庁によれば庁内では分煙措置をとり、各市にはこれからセミナーなどで啓蒙していくという。
 国際都市として神奈川は、他県に先駆けて、世界的な動きにいち早く呼応し、路上喫煙禁止程度のマナーや美化にとどまらず、禁煙率低下・喫煙被害防止に向けて、少なくとも公共施設や病院など不特定多数の人が集まる場所での喫煙に関する積極的な措置を期待したい。