“人の価値”を最大限活かす・・・

「バリュー・インテグレーター」は私の登録商標である。直訳すれば「価値統合者」といったところだろうか。「あらゆるものに価値(バリュー)を見出し、それを独創的に統合(インテグレート)し、革新的ビジネスを創造する人」と定義づけている。

その意味で、人材紹介は“人の価値”を他の場所(会社)で活かし、かつ最大限に高めることで、企業の活性化につなげることができる私のビジネスのひとつでもある。
去る十月末、久しぶりに高校の後輩のK君から電話があったが、その声は沈んでいた。現在五十一才、某国立大学を出て、一流大企業に勤務している。二年前に政府系外郭団体に出向し、今年七月に本社に戻ってきたが、もうそこに彼のポストはなかった。
会社から提示されたのは、ATM(現金自動預払機)コーナーでの案内係や郵便の仕分け係。そこで「自分のキャリアを活かしたもっとやりがいのある仕事をしたい」と辞退すると、会社は「十一月中旬までに自分で出向先を見つけなければ退職の手続きをとる」と態度を硬化させた。

景気低迷が続くなか、人をどう活かすかについて悩んでいる企業が多いが、大企業の経営者もなりふり構わぬリストラへと追い込まれてきたのである。能力ある中高年にもすぐには仕事はない。
窮地に追い込まれたK君を何とかしたいと私はいくつかの会社に紹介した。しかし日数も限られうまくいくはずはない。「万事休すか?」とあきらめかけたとき、横浜で不動産建築関係の会社のある社長が「中小企業の仕事は大企業よりずっと厳しいですよ。それに耐える自信があるなら出向を受けいれましょう」と快諾してくれた。

K君の能力はよりよい評価を受けて別の形で活かされることになったのである。
今月二日からK君は希望に燃えた第二の人生をしっかりと歩み始めた。