人も会社も情報で生きている

(1) 広報は内外への情報コミュニケーション

文字は指先で書くが、それは脳の情報(指令)によるもの。また指先の情報により脳は判断する。もし血液や神経が詰まり、脳の情報が滞れば指先は「壊死(えし)」し、末端情報が上がらなければ「脳死」する。つまり人は脳の情報で生きているのだ。脳の指令で指先は善行(ぜんこう)もすれば悪行(あくぎょう)もやる。正しい指令なくして善行なし。会社は法人。トップは脳、社員は指先。トップが正なれば社員も正しく言動。トップが緩めば社員はもっと緩むのだ。各関節に陣取る管理職にも脳死壊死が起こる。決して情報を滞らせてはならない。
「顔」が情報基地の広報。脳に密着して見えない情報も見、聞こえない情報も聴く。そして脳の情報を内外に伝達するのである。
「広報とは、ビジョン実現に向けて、内外への適切な情報交通(コミュニケーション)で会社を司(つかさど)り、真(まこと)の会社(人間)にすること」が本質である。常に「To be good」いかに善くあるべきか!を考え「To do good」いかに善く行うべきか!で行動するのだ。この順序を間違えてはならない。

(2) 汲めどむ尽きぬ「情熱費」を

 広告には金がかかるが、記事はタダ!ではない。これからの中小企業経営者は、マネー(カネ)よりバリュー(カチ)を重んじるべし。「広告費(アドバタイジングフィー)」は不要だが「情熱費(パッションフィー)」が必要だ。
中小企業は金はなくとも溢れる情熱費は無限に持っていよう。情熱費は汲めども尽きぬ。汲めば汲む程湧いてくる。しかも次第に濃密になっていく。つまり片想いに似ている。想いは募りに募る位に、我が商品に想い入れがなければ相手(記者・顧客)の心は動かない。広報は崇高なる経営の仕事。社内外にビジョン・理念を浸透させ、体外的には、信用を高め、知名度や企業イメージ向上を促し、社内的には社員の誇りや自信を持たせ、社会的な責任の自覚を促してモチベーションを高めるのだ。
中小企業にとり広報は、広報を経営として実行する企業存立・成長への高雅なる経営の意志なのである。
古人曰く「情熱は、必ず人を承服させる唯一の雄弁家である。情熱のある最も朴訥な人が、情熱のない最も雄弁な人よりも、よく相手を承服させる」

(3)広報はライバルとの“情報の闘い”
 どの会社にもライバルがいる。当面のライバルは恐らく3-5社であろう。常にライバルよりも、露出を多くする競争に勝たなければならない。報せなければ買っ(来)て頂けない。報せる競争に負ければ、次第に弱体化することは明らかだ。片想いの人=まだ見ぬ遠くの顧客に報せる協力者としてメディアつまり仲人の存在が要る。この協力者をいかにライバルよりも味方につけるか?の競い合いなのだ。
規模の大小は無関係。広報は情報という商品の戦いなのであることを肝に銘じよう。
その為に、いかに顧客価値のあるニュースネタを提供できるかである。

(4)どの位お化粧するのか?に会社の有り方が現れる
女性は朝顔を洗い、鏡を見て髪を整え化粧する。男性も同じだ。それは、①気を惹きたい ②良く見せたい ③身嗜みとして・・・。化粧の基準は何か? 誰でも、特に女性は、誰かを、何かをイメージしつつ化粧しているであろう。私は、笑われると思うが、実は“キムタク”を狙って身なりを整えている。つまり、ありたい自分、あるべき自分、自分のビジョンに沿って化粧する。化粧とは顔だけではない。服装も、文章も、言葉遣いも、言動もいつもTPOに応じて、化粧に余念がない自分に気付かなければならない。その化粧が過度になれば、誇大広告と同じだ。それをどこまでに留めるか?である。適切適度な化粧を考え実行すること・・・が広報の仕事。広報とは会社の“身嗜み演出家”であり“ファッションコーディネーター”なのである。