今日のテーマ:「イェスとノー」
  
きっぱりと 諾否の明言大切に 
        曖昧誤解無くすが一番
                       
面談でもっとも気をつけるべきことの一つは、この諾否の明言です。「イエス」と「ノー」では、「イエス」の方が格段に言い易いもの。「Yes、but・・・」は、まず肯定した後条件をつける回答テクニックです。しかし、「ノー」は、難しい。

その言い方は多様で誤解を招き易いからです。質問のプロである記者は、多様な言い方で訊いてきます。中には「知っているぞ」と匂わせながら、答えを引き出すこともあります。従って、諾否を明言したとしても、その前後の説明について慎重な言い回しを行い、誤った言質を取られないように留意しなければなりません。

以下、否定表現を勉強してみましょう。

「どの否定? 言えない・知らない・聞いてない、判らないに決めてない」             
* 言えません:
 と言うと、「知っている が言えない」 という意味となる。「なぜ 言えないの か?」「誰が、いつ言えるの か?」と 追求される。まずい表現だ。

* 知りません:
 と答えると「自分は知らない」となり、 「誰が知っているのか」と追われる。あ たりさわりはないが、不審感を与える恐 れがある。実際うすうす知っている場  合、表情やしぐさ・態度で悟られる。                                                  
* 聞いていません:
 は、軽くて使い勝手のいい言葉だ。テー マによっては「さあ、そんな話あるので すか?まったく聞いていませんね」とか 「かけらも聞こえて来ませんね」などと 信じられない表情で言うと効果的。「残 念ながら、聞かされていませんね」もい い。
 反面、無責任発言となる恐れあり。                             
* 判りません:
 と言えば、「誰に訊けば判るのか?」と なる。上層部にいけばいくほど、判らな いはずは無い。無責任回答だ。「判る役 員に会わせて欲しい」と次のアレンジが 必要となろう。「担当役員に聞いておき ましょう」などと一時凌ぎはできる。                              
* 決めていません:
 は、トップ或いはその案件の責任者しか 言えない言葉だ。「いつ決めるのか?」 との問いが待っている。                                  
* 決まっていません:
 と言うと、案件の存在は認めることにな る。「いつ、決まるのか?」と聞かれ、 決まる時期が来たら取材を受けざるを得 なくなる。つまりその記者にリークす 
 る。  

どの答え方が正解かは、案件テーマや回答する人の立場やタイミング・時期など状況によって異なります。卓越者としては、きわどい質問に対して、「ノー」の言い方をどの位適切に駆使できるかに心を配りましょう。
『平生のこころがけ』(小泉信三)に「イエス、ノオは、人の気をかねて曖昧なことを言うものが存外よく思われず、他の思惑を顧みずに思った通りいうものが必ずしも嫌われない。諾否の明言は心がけと練習により上達する」とあります。