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今日のテーマ: 広報の使命
2009年1月4日(日) NO.13
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恭賀新春!
本年もどうぞよろしくお願い致します。
私は今、次の策『広報・PRの基本』(日本実業出版社2009年4月予定)を鋭意執筆中です。
新年に当たり、「広報の使命」を熟考した結果、2005年出版の『広報の達人になる法』にカルロス・ゴーン日産自動車社長から頂いた序文の素晴らしさを改めてそして重ねて実感しました。
そこで、ここに掲げて「広報の使命」の真髄を心に留めたいものです。
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広報の使命
組織の信頼性は「業績」と「透明性」の二点によって決まるものです。
経営者が「組織の明確なビジョン」と「それを支える戦略」、そして「具体的な行動計画」を描くこと――これが高い業績へ導く因子になります。しかし、いかにビジョンや戦略がパワフルでも、社員に理解されなければ共有されず、共有されなければパワーレスになり、結果を出すことはできません。それらを社員に伝え、モチベーションを高めるには、継続的且つ焦点の当ったコミュニケーションが必要なのです。
広報は社員のモチベーション向上の一端を担っていますが、広報の役割はそれだけではありません。社会の一員として、会社には、株主、ビジネス・パートナー、顧客、そして社会全般における、全てのステークホルダーに対してコミュニケーションを行う義務があるのです。
優れた広報は企業の信用、評判そして何よりブランド力の向上を支えているのです。
企業による情報開示はコーポレート・ガバナンスの指針によって義務づけられていますが、事業の透明性は義務を超越したコミットメントなのです。透明性の確保を追求する姿勢は企業文化の一部でなければなりません。企業は言葉と行動が一致してはじめて顧客と社会の信頼を獲得できるのです。
短期的な利益を追求するために現状を捻じ曲げてはなりません。透明性には誠意、説明責任、そして法規制の遵守が必要です。これらは全て社内外を問わず、人々との長期的な信頼関係を築くのに不可欠なも
のです。
コミュニケーションは、会社の戦略と信頼性を支える重要なマネジメント・ツールです。日産では、広報担当者は「戦術的実施者」ではなく、「戦略的思想家」を目指すことを求められ、広報活動を行ううえで、以下六つのポイントを重視しています。
1.十分な準備を行うこと。組織に深く関 わることで、重要なものと、重要では ないものを区別すること。適切且つタ イムリーなコミュニケーションを目指 すこと。
2.内容・根拠がしっかりしていること。 率直且つ明快な広報活動を行うこと。
3.状況に合わせた方法であること。聞き 手・ステークホルダーを把握し、その ニーズと期待を理解したうえで、的を 射た、有効な広報活動を行うこと。
4.現実に即した、地に足のついたもので あること。メッセージを理解できない 限り、受け手はそれに反応することが できない。定期的にフィードバックを 集めて会社の目的通りメッセージが伝 わっているかどうかを確認し、将来の コミュニケーション改善に役立てるこ と。
5.事実・数値に基づいた広報活動を行う こと。正確且つ事実に基づいた、測定 可能な情報発信を徹底すること。
6.会社が実行する意志ないものについて は広報しないこと。現実と会社の戦略 に即した内容にすること。
優秀な広報担当者の第一の要件は、強い使命感を持つことです。自分の価値観と任された業務に忠実であることが大切です。
自らの責任の境界を越えて構想し、より広大な絵を描けるように、機能横断的な取組みを行うことです。競合他社や、他業種の成功に学び、ベストプラクティスを積極的に取り入れ、常に学ぶ姿勢を忘れず、継続的な改善を目指していかなければなりません。
広報のプロと企業には、高い業績と透明性が不可欠です。広報活動の強化と理解の向上に携る皆様には、会社の成功を支え、ひいてはグローバル社会の発展の一翼を担っていただくことを期待しています。
日産自動車取締役社長
カルロス・ゴーン
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広報卓越者たる者は、「会社が実行する意志ないものについては広報しない」という自負と気概を心魂に抱き、日々の業務に邁進しましょう。
昨今の事件・不祥事を見るにつけ、自己の尊厳を崩さず、物事を善処する厳然とした心構えを常時保有していなければなりません。
本年1年、常に尊厳を崩さない自分を自尊する日を一日一日と終えることです。