『広報卓越者になる法』
今日のテーマ:目配り、気配り、足配り 2008年10月12日(日) NO.8
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細やかに 目配り気配り足配り
奉仕厭わぬ親切な人
小泉信三は、その著『平生の心がけ』において、
「“汝、人にせられんと欲する如く、その 如く人にもせよ”とは、古今不易の訓え であるが、人の趣味は同じでないかも知
れぬ。ここに考えてみなければならぬこ とがある」
として、人の心を深く思いやる大切さを強調した。
つまり、こちらがしてもらいたいと思うことは、“きっと”他人もそうしてもらいたいに違いない、と思うのは、他人のことを思いやっているようで、実はそうでない場合もある、という警告である。つまり、自分の好みや主義と他人のそれらは、異なっているのが普通であるために、一概にどんな方法で接する方が相手に喜ばれるかは、千差万別であろう。
一方では、「人が欲せざることを施すなかれ」とも言われる。この言葉は総じて、ほとんどの場面で間違いはあるまい。
広報卓越者になるには、さまざまな配慮をしなければならない。小さな目配りが誤解を防ぎ、細やかな気配りが漏れを防ぎ、どこへでも軽やかに足配りし、手間を引き受けることで喜ばれ、そして感謝される。
しかも、社内外の情報が向こうから入ってくるのである。ちょっとした気遣いやきめ細やかな配慮はし過ぎるということはない。それによって、クレームなど危機の発生をも未然に防ぐのである。
このような人は奉仕の心をもち、人が敬遠することでも進んで引き受ける。いやなそぶりも見せずに笑って実行する。根っから思いやりのある親切な人だ。
「人には親切、自分には辛切、法には深切であれ」
とは竜沢寺山本玄峰禅師のお言葉だが、こうした姿勢を厭(いと)わず実行できる人物は、どんな部署でも欲しいもの。
卓越者への道は、幹部候補の登竜門でもある。どの道程にいようと、この気概を高揚しつつ、日々精進を重ねなければならない。
ドイツの哲学者カントは、
「人が自分の生命を保存するのは義務であ り、自分自身の幸福を確保することも、 人に親切にすることも義務である。
“義務”とは私たちをして善なる行為を なさしめる必然性である。
義務にもとづいて為すことの方が道徳的 価値が高い」
(『道徳形而上学原論』)
と義務の尊厳を高らかに謳(うた)っている。