『広報卓越者になる法』   
  今日のテーマ:至誠の人であれ   


   倫理観 責任感に使命感
       ビジョン実現 至誠の人

広報卓越者は、どんな人間であるべきであろうか?を考えてみるに、まずは何といっても「至誠」という言葉が置いて他にない。

敬愛する古人の一人である幕末の志士吉田松陰は、孟子にある

   至誠にして動かざる者は
       未だ是れ有らざるなり

を生涯守り通して、高杉晋作を初め多くの門下生の心に点火し、明治維新成就を笑みを浮かべつつ天から見守った。

ドイツの社会学者ジンメルは、

  高い人間とは、自分より高いものを、
  自分の上にもつものにほかならぬ。
  そうでなければ、ただ低い人間だけで  ある。(『日々の断想』)

と言う。

高い地位にあるのが高い人間ではなく、自分の上に高い学や思想、高い徳や愛を持ち、常により高いものを求めている者が高い人間なのである。

広報卓越者を目指す者が、企業の顔、社外への開かれた窓口として重要な役割を果たすためには、まずもって、企業を代表するだけの高い倫理観が求められる。

企業には、創業者の夢・志を根幹に、ビジョンや理念が掲げられ、企業存続の目的や行動規範が示されている。達人志望者は、経営トップと協力して、それを社外には広く適切に報せ、社内には深く浸透させ
る先兵隊の役割を果たす。ひとりひとりの士気を鼓舞し、ビジョン実現に向かって邁進するのである。

そこに、企業の伝道師(エバンジェリスト)として、社長の分身として、高度な責任感と烈々たる使命感を体中に漲(みなぎ)らせていなければならない。

卓越者を志望する者は、温かい人間性が滲み出る至誠の人が一番だ。スキルやノウハウなどは二の次、まずは「誠を尽くす」ことだ。
誠心誠意は人の心に振動を与える。

それに地道が加わるとなおいい。
粘り強さがでる。誠の人は世の中に尊さをもたらす。  

『孟子』は、

    誠は天の道なり。
    誠を思うは人の道なり

と「誠」を人倫の規範として唱導する。 

  よきにつけ悪しきにつけて思ふべし
      こゝろに誠ありやなしやと               
           (新渡戸稲造)