『広報卓越者になる法』 NO.3
今日のテーマ:価値を報せる ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
1.焼芋屋 売って稼ぐその前に
存在報せる仕事があるぞ
ビジネスにおける基本的なサイクルは、原材料を仕入れ、付加価値をつけて商品やサービスを作り、売って、代金を回収し、利益を再投資したり、あるいは社員の待遇改善や内部留保に使うという一連の流れで成り立ちます。
そこで、「価値作り」から「売る」間にある重要なビジネス活動の存在に気づかなければなりません。行商の焼芋屋の活動を分析してみると、まず、芋を仕入れ、焼いて価値を高めて商品にする。そして、一軒一軒訪問販売する一方、街頭では「イシヤキイモ~!」と大声で叫んで、販売を拡大する。この「叫ぶ」は、多くの人に「報せる」行為です。
つまり、お釈迦様でもイチローでも、人は「知らないものは決して買えない」「報せなければ買っていただけない」のです。別の言い方をすれば、優れた価値づくりして、他社にない独創的な商品を完成して
も、直ぐ売れるわけにはいかない。つまり、売る前に必ず「報せる」活動が不可欠なのです。お客様に「広く報せる」こと、つまり「広報」は、まさに「経営の一部」なのです。
これを新しいビジネスモデルとして、しっかり脳裏に焼き付けておくこと。お客様が知らない企業は存立し得ません。今日のような激しい競合時代のビジネスにおいては、このお客様に適切に報せる能力が顧
客を増やす原動力となるのです。そしてその優劣がライバルとの競争に勝利する基盤となる。すなわち、広報の能力とは成長の能力であり、繁栄の能力なのです。
「企業の目的は、顧客の創造であり、その維持である。事業が何かを決定するのは顧客である」(ドラッカー『経営の哲学』)
2.お客様 価値が解ってやっと買う
報せなければ買ってもらえぬ
顧客訪問して、ある新商品を売り込む一連の営業活動を分析してみましょう。
1)お客様に新商品の特徴を述べることから始まる。どこが従来品と異なるのか?あるいは、競合商品と比較してどこが優れているのか?などの差別化ポイントを強調する。これは「新商品の価値を理解してもらう」段階。次に、
2)「お客様が使うメリットを強調」する重要な段階に入る。
なぜこの商品でなければならないか? どの位の効果があるのか?などお客様の立場から考えてあげる。そこで興味を持ってもらえれば、
3)「質疑応答」となるのが通常のプロセスだ。そこで、お客様に十分な理解とインパクトを与えることが出来れば、
4)「共感」を抱いてもらえる段階になる。ここまでくると買っていただく可能性が出る。暫(しば)しの沈黙が伴う。そして初めて「ところで、これいくらですか?」「納期は?」と続き、ここからが
5)真の営業活動
となるのです。
最初の1)から4)までは、「お客様の共感を得る活動」。それは「価値伝達活動」と言え、一般にはプレゼンテーションといわれます。
これで判るように、広報活動とは、メディアを通じて行うプレゼンテーションと同じです。広報力の向上は、本来の営業活動に直結し、相乗効果をもたらすことになるのです。
「顧客は自らが求めるもの、必要とするもの、期待するものにしか関心を寄せない。顧客の関心は常にこの製品あるいはこの企業は自分に何をしてくれるのかである」(ドラッカー『経営の哲学』)