運を掴む力こそ、その人その人の秘密ともいうべきもので、それをその人独特のものでなければならないが、誰でもが持つ事が出来、しかもその条件は数限りなくあるものだ。
世間の人が言う様に唯々正直や真面目や勤勉ーーこれも大切な力だがーーだけで運が掴めるものならば、もっともっと運のいい人があってもよいはずである。
ところが、世の中には正に逆さにさえ、見えるではないか。
そこに一工夫も二工夫もあるわけだ。
その工夫の出来る人だけが運を掴める。
「人は、人生が与えるどんな思いがけない過分の贈物でも、
それを当然のことのように、大きな顔をして受け取る」
(福田恒存『人間・この劇的なるもの』)
「幸不幸は現象であって不動のものではない」
(山本周五郎『ながい坂』)
「幸福に、幸福に、と心を尽くして、したことも、その人にとって、
のちの不幸を見る場合もある」(吉川英治『俗つれづれ草』)