世間はとかく人のうわさを喜ぶものだ。しかし何と言っても悪いうわさは得にはならない。そこで大抵の人はあわてて方々に言い訳をしたり、相手をくさしたりしてやっきになるが、これ位効き目のうすいものはない。逆にうわさを広げ、尾にひれをつけられる。自分に悪いうわさが立ったら、かえって知らぬ顔で聞き流す事である。問題にしない事である。うわさを消す、それが最良薬である。
ゴシップ本能は人間の必要な本能の一つである。人間が2人集まれば会話の3分の2までが人のうわさと言われる。誰でも人のうわさが好きだ。噂をして楽しむ技術は発展しているのであろうか?
「たとひ人有りていかなる事を聞かしむと云えども、実否を聞きて後、信ずべきなり」と12世紀初めの『今昔物語』にあるように、うわさで人を判断してはならない。必ず自分で確かな方法でその真実を確かめる様に心がけることが大切である。勿論、噂はそれを語る人によって、人々は信じるか信じないかを決めるものである。
「人の眼(まなこ)はくもりたるものにて、耳は千里の外までも聞くか、あやまり伝へたる事は再度(ふたたび)消えず」と樋口一葉は『琴の音』に書いている。
一度立った噂はなかなか消えるものではない。現代では、メルマガ、ブログ、ツイッター、そしてフェイスブック・・・と噂を立てる手段が多様化し、更に拡大している。良い噂を広げよう。クチコミ効果が更に拡大する。