匂いの強い花や、色の美しい花が人の目につき易い様に毒気のある人は特別目立つ妙な出して人に近づいてくるものです。そう言う人は得てして恐ろしい欠陥を持っていることが多い。こんな人と数多く交際すれば何時かは、その毒気に当てられることがあります。上手に逃げる方が賢い。しかもその欠点は死ぬまで直らない慢性が多いものですから、直してやろうなどと思い上がったまねをしたら、とんだ目に会うことになりましょう。
逆に無臭で平凡な形の花には惹かれるものがない為に、その良さを見逃しがちです。魅力のなさは実直さに通じ、頑固なまでに一途に何かに打ち込む精神の素直さには、別の魅力があるもの。しかし、その一途さには毒気はなくとも迫力がある。
岡倉覚三は、「おのれに存する偉大なるものの小を感ずることのできない人は、他人に存す る小なるものの偉大を見逃しがちである」(『茶の本』)と
「俺が俺が・・・」の心の発生を戒めています。
山見博康