金の貸し借りも又難しい。下手な貸し方をするとあべこべに急所をひねり上げられて逆に脅かされる。一端貸すと借りる前まで低姿勢であった借りてが有利な立場になる。ひさし貸して母屋取られるの諺通り。人間と言うものは先ず何でも自分に得になる様な理屈を考えるものだ。その為にはどんな知恵でも利用する。他の事には案外馬鹿な人間も損得の事になると、俄然悪知恵が出てくるものである。昨日は善人だった人間も損得の前には平気で悪人になることを覚えておくと、処世の1つの秘訣になる。つまり「君子豹変す」は誰にも当てはまる。

そこで変わらぬ友はかけがえのない一生を潤す宝者となる。

【山見博康】