ゴルフでは、18歳の石川遼選手が最年少賞金王
将棋では、20歳の井山裕太さんが最年少名人
アイススケートでは、15歳の高木美帆選手が最年少オリンピック出場
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など続々と最年少記録が塗り替えられ、若い人の台頭は瑞々しい組織の活性化を意味するものです。そうした類稀な才能を持ち、一筋を極めようとその裏で壮絶な努力と精進し、達成してきた人は素晴らしいことです。ところが、小さい頃、いろんな才能がある友達がいましたが、それをうらやましく思ったものですが、才子というのは幸いのようで実は大した事はないとも言えます。
周りの者からはちやほやされて得意ではいられるがそれだけに気ばかり触れて、一筋道の修業ができないこともあります。沢山ある特技を一つ選んで精進することは実は寂しい、便りない道、つまり未知の道だからです。
しばらく経つと誰もそうそうは誉めてくれなくなりますし、一つの特技位では評価してくれる人もいなくなるからです。いつも人から称められてばかりいたい人間は唯一人で道を行くという様な根気は続かないものでしょう。結局器用貧乏で大成しない人も出てきます。
一方、それほど色んな才能は無くても、一つをじっくり根気強くコツコツと継続する人、継続という努力を怠らない人は長い目でみると人生豊かに過ごせるのではないでしょうか?
新渡戸稲造は、「僕はつねに失望する人を慰めんとする時、或いは自ら失望し落胆せんとする時、自ら励まして、“マァ10年待て”と言っている」(『自警録』)と
と凡人を激励、人生の非凡への勝負は、永くかかっての真の評価によるものと喝破されています。
人生の勝敗は、人の真価で測るべし。真の力のある人はいわゆる投げられても負けないもので、それは負けたと思う自分の気持ちに負けていることになるものです。
堪忍の忍の字は、刃の下に心と書く。一つ動けば胸を切るのです。
「世の人耐えしのぶといふことこそ、
万(よろず)の宝にもましためでたけれ」(樋口一葉)
「ただ耐えること、しかも矜持(きょうじ)を以て耐えること、
それも亦ヒロイズムだった」(三島由紀夫)
【山見博康】