『世渡りの秘訣百か条』

第2条「逃げた魚は大きく、よその花は美しい」


過ぎた昔の夢の華やかさばかり思い出して、現在の

自分のものはみなつまらなく、よその花ばかり美しい

と思う人に不平は絶えないものです。

どんな人生にも浮き沈みあり、幸不幸あり、善し悪しあり

好不調あり・・・。それは貧富、地位の上下に変わりなく

やってくるもの。人の運不運はみな平等なのです。

昔を夢見て、人の庭ばかりを眺めていられるのは、ほんの

束の間、そんなことを繰り返していると、ぐちばかりがこぼ

がちになります。すると、水が引くように自分の味方は

逃げていくものです。

小さくても今自分で捕まえた魚、小さくても我が家に咲いた

花を可憐と思い、美しいと思う人でなければ幸運は来ない

のです。「運命の女神に後ろ髪はない」と古人も言います。


与えられた幸福は短く、儚い。

自ら掴んだ幸福は熱く、永い。

 

               【山見博康】