「顧客と市場を知っているのは、ただ一人、
顧客本人である。したがって顧客に聞き、
顧客を見、顧客の行動を理解して初めて、
顧客とは誰であり、何を行い、いかに買い、
何を期待し、何に価値を見出しているかを、
知ることができる」
(ドラッカー『創造する経営者』)
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「お客様第一主義」を唱える会社は多いのは
当然ですが、なぜでしょうか?
なぜ、お客様が大切なのか?を哲学的に考
えてみますと、
「お客様からいただく利益だけが、
利益の源泉であり、自分の存立の基盤である」
からです。
つまり、自分の給与は上司からいただいている
わけでもなく、社長のポッケからもらっているわ
けでもありません。 その原泉は、お客様のお財
布なのです。
このことがあらゆる企業における真理であり、ド
ラッカーの言葉はその当然のことを分解し、つま
り細分化したに過ぎません。
その前提で、前回のPDCAサイクルを再考して
みると新たな視点も生まれてきます。
花村邦昭(株)日本総合研究所特別顧問・大妻
学院理事長は、そのPDCAサイクルを進化させ
て独自のサイクルモデルを、次の通り創出しま
した。
Project:自分自身で自己設定する課題、或いは
自分に使命をして課せられている課業
が何であるかを自分で探すのが「P」で、
単に他から与えられるのではない。
しかし、下手をすると、ノルマだけの
「PressureのP」になりかねないので要
注意。
これは、
「かくすればかくなるものと知りながら
やむにやまれぬ大和魂」
と命をものとせず実行実践した吉田松
陰の思想と同じであります。また、
「凡百の論議より要は実践にあり」
という住友銀行の元頭取堀田庄三氏の
社員宛のメッセージの第一条でも謳われ
ています。
どんないい計画でも実行なしには、真の
成就は見込めません。計画だおれになり
がちな頭のいい人は気をつけること。また、
「机上のプラン」に終わりがちな人は心しま
しょう。
Drive: 「D」も他律的に命令されたり、予め指示を
受けての主体性のないDoではなく、自らが
創意工夫しながら積極的に推進するという
意味で Drive の「D」です。
Collaboration:「C」も単にチェックのためのチェッ
クではなく、むしろ他者と協力・協働する中
で自分に足りないところを互いが反省する
という意味での自己チェックの 「C」である。
つまり
Collaboration 或いはCommunicationの
「C」です。
Assessment:「A」は単に Actionすれば良いだけの
「A」ではなく、 Assessment つまり、互いの
協働の中で相手を認め合い感謝し合うという
意味での「A」であり、Appreciation の「A]
でもあります。
それがあってはじめて次のActionも主体的・
効果的に実行することができるのです。
この新しいProject-Drive-Collaboration-
Assessment・・・これが新しい戦略遂行モデルです。
つまり、これは、人の創造力と人間力との積を産み出
す「創発」の世界、そこに人知と思いやりの和が生ま
れるのです。このように、全体像をよく理解して業務
遂行を俯瞰する心得を身につけることが大切です。
「脳は身体の一部です。ですから筋肉と同じように鍛
えれば鍛えるほど強くなり、より上手に扱えるように
なっていきます。実際に身体を動かして 見ないこと
には、どんなアウトプットが出てくる か判らないし、
上達していきません。
それが、運 動系の学習回路の仕組みであり、“脳
の情報を出力する”ことが大切である理由の一つ
です。
そして、脳が情報を出力する時にもっとも大切にな
る器官が口と手です。 仕事ができる人にお会いす
ると、必ずといっていいほど“実際に身体を動かす”
ということを日々実践しています」
(茂木健一郎『脳を活かす仕事術』)
【山見博康】