「真の仕事ならどんなものでも必ず、真面目に没頭すれば間もなく興味がわいてくる。ひとを幸福にするのは仕事の種類ではなく、創造と成功のよろこび

である。我を忘れて自分の仕事に完全に没頭することのできる働きびとは最も幸福である。ときには、最もせまい活動範囲に自己の小天地を築きあげている、いろんな種類の『変わり者』でさえ、この上なく幸福なのである」


19世紀スイスの哲学者ヒルティ『幸福論』)


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「仕事の報酬は仕事」である。お客様に感動される仕事をすればよりよい、より高度なあるいは困難な仕事をいただける、その仕事こそがもっとも大きなご褒美なのだ。この言葉に深い感銘を与える。これこそが真の報酬ではないか! お客様に喜ばれる仕事は、多くの人が個人の知を「共有」し、それらを「共用」し、各人が「共鳴」してよりよいものを「共創」することによって得られる」と

“知=ナレッジの価値連鎖”が重要なのである。日本総合研究所中興の祖である花村邦昭氏(特別顧問)は、その著『知の経営革命』において「経営とは付加価値連鎖の創出である。その連鎖は、顧客のその先の顧客。最終的には消費者まで繋がっている。つまり、すべては「知価共創の無限連鎖の関係にある」と訓える。


ノーベル賞田中耕一さんの偉業も、優れた「個の知」を根幹にあるが、実はそれに共鳴したチームによって成し遂げられた成果である。これこそ知価連鎖作用による共創の極地である。社員とお客様とが人間的な知のネットワークを構築し、お客様との間でも知価連鎖が弁証法的に創発することが理想である。


“仕事のリピーター”こそが永続的な報酬なのだ。金銭の報酬はそれに自然とついてこよう。一つの仕事の完成が、次の仕事を呼ぶ、「仕事が仕事を呼ぶ」ことが永続的な報酬である。仕事をさせていただく喜びが、その能力をさらに向上させ、心の愉悦となり、人生への生き甲斐へと昇華する。それが共に仕事する人のよろこびとなって伝播するのである。そのためには、お客様の喜ぶ真の仕事を差し上

げることだ。


このような真に仕事に没頭する本当の勤勉を知れば、人の精神は働き続けてやまない。これが仕事の報酬なのである。最も愉快な、最も報いられることの多い、その上最も安価な、最もよい時間消費法は、常に仕事である。

未来は働く人のものであり、社会の主人はいかなる時代にも常に勤労であることを決して忘れてはならない。人生のよろこびは仕事を自らの意志で達成することにある。


「人間の幸福は、自己の優れた能力を自由自在に発揮するにある」

(アリストテレス)【山見博康】